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講義No.10420

食べる機能が低下した方に適した食事とは

食物をうまく飲み込めない

 高齢になったり、脳卒中などの脳血管障害になったりすると、嚥下(えんげ)障害になる場合があります。嚥下とは、飲み込むということです。口に取り込まれた食物や飲み物は咽頭、食道を通って胃に入ります。一方、空気は咽頭、喉頭、気管を通って肺に流れます。この2つは咽頭にある弁(喉頭蓋)で分けられます。ところが、筋力の衰えを始めとするさまざまな要因で弁(喉頭蓋)がうまく機能せずに、食物などが誤って気管に入ってしまう(誤嚥)ことがあり、誤嚥性肺炎の原因となります。

安全に食べられる食事とは

 食べることが困難な方は、誤嚥しないように食べ物や飲み物を工夫します。飲み物は、とろみ剤を入れてゆっくり飲み込めるようにします。食べ物は、その方の食べる機能に応じて、かたさなどの食感や形態を調整します。困難度が高い方の食事になると、例えばご飯であれば、粥(かゆ)にして、さらにミキサーにかけてペースト状にします。それだけではべたつくので、でんぷん分解酵素を入れてさらさらにして、凝固剤で固めてプリンのようにまとめます。このような食事は、安全ではあるものの、ミキサーにかけるために水分を加えるため、エネルギー・栄養素密度が低下してしまうという問題があります。また、どんな食物も同じ食形態になるため、食べる楽しみが減少しがちです。

豊かな食事づくりをめざして

 食べることが困難な方においしいと感じて食べてもらうためには、その方が好んで食べた食事の傾向や背景を知ることが重要です。さらに調理法の研究も行われています。食材の物理化学特性が調理によってどのように変化するかを分子レベルで解明して、目的の食感の料理に仕上げる調理法の研究です。例えば肉を軟らかく仕上げるために、タンパク質の変性を解明して70~80℃程度で真空状態で加熱する調理法や、新しい食感の料理を作るために食品にガスを封入して泡状にするエスプーマという調理法があげられます。このように、おいしさに貢献する研究も行われているのです。


この学問が向いているかも 調理学

尚絅学院大学
健康栄養学群 健康栄養学類 准教授
濟渡 久美 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 栄養士・管理栄養士の仕事は、主に栄養の指導を行うことです。「おいしい食事」を「口から食べる」ことは、楽しく、豊かに、充実して生きるための重要な要素です。老化や脳血管疾患の後遺症などで、食べる機能が低下した方は十分なエネルギー・栄養素量を摂ることが難しく低栄養状態になる確率が高くなります。そういった方々の栄養状態を改善するためには、適切な栄養素を摂取できるように、食べやすく、おいしく食べてもらうための調理の工夫が必要になります。ぜひ、食べる楽しみを提供するための知識やスキルを身につけてください。

先生の学問へのきっかけ

 管理栄養士として働いていた介護老人施設で、誤嚥性(ごえんせい)肺炎で入院して「胃ろう」という直接胃にエネルギー・栄養素を送る処置を受けている入所者さんに出会いました。そうなると「口から食べる楽しみ」を失ってしまいます。その方が食べたいような表情を見せるのを見て、生きる上でいかに食べることが重要であるかに気づきました。また、食物を飲み込むことが難しい入所者さんは、食べるものが制限されます。すべてがペースト状になっていて、食べる楽しみが得られません。そこで、美味しく食べられる調理法を研究しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

栄養士

大学アイコン
濟渡 久美 先生がいらっしゃる
尚絅学院大学に関心を持ったら

 明治25年の創立以来、「キリスト教の精神を土台として、自己を深め、他者と共に生きる」人間教育を建学の精神に掲げ、6万人を超える人材を送り出してきました。2019年4月には「多様な学び」の実現に向けて「3学群5学類制」がスタート。人文社会学類、心理学類、子ども学類、学校教育学類、健康栄養学類で、何を学び、どのような将来を実現できるのかを明確にし、幅広い学問分野と現場体験の中から自分の将来を最適化する場を提供します。少人数で実践的な人間教育の伝統を受け継ぎつつ、教育改革を積極的に進めています。

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