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講義No.10419

チーム医療で取り組む患者さんの「苦痛からの解放」

全人的苦痛(トータルペイン)

 がんや心筋梗塞(こうそく)などの重い病気にかかると、患者さんは激しい痛みを感じます。痛みといっても、病気の症状による「身体的な苦痛」だけではありません。病気に対する不安や、病院にいる孤独などを感じる「精神的な苦痛」。病気による経済の困窮や、仕事を休むことで社会的な立場を失うかもしれない恐れなどの「社会的な苦痛」。人生が急転換することへの悩み、死への恐怖などの「スピリチュアルペイン」。患者さんはこれら4つの苦痛に耐えているのです。

痛みを和らげる緩和ケア

 病院では、これらの痛みを和らげる「緩和ケア」が行われています。医師を中心に、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、理学療法士、栄養士などの多職種がチームとなって治療にあたります。第一に、患者さんにとって一番辛い身体的な痛みの緩和をめざします。医師は痛みの症状に合わせた薬の処方を考えますが、薬剤師は薬に対して別の視点を持たなければなりません。
 薬には主作用と副作用があります。主作用として、ある部分には効果を見せるものの、同時に副作用として別の部分に違う効果をもたらすことがあります。その場合、投与量を変えるのか、別の薬に代えるのか、副作用をケアする薬を追加するのかを考えるのが薬剤師の役割です。チームにおける薬剤師の役割は、薬物療法の最適化に努めることです。薬剤師の視点で薬物治療支援を考え、副作用を回避しながら最大限の治療効果を上げることに取り組んでいます。

多職種が連携するチーム医療

 身体的な痛み以外の3つの痛みは薬だけでは取り除くことができません。そのためチーム医療には精神科の医師や、心理療法士、ソーシャルワーカーのほか、患者さんが希望すれば施設で働く牧師や僧侶なども加わることがあります。多職種が連携しながらそれぞれのポジションで患者さんのことを考え、カンファレンスの場で協議を重ねながら治療の方針を決めていくのがチーム医療です。そこで薬剤師は、医薬品の専門職としての立場から発言することが求められているのです。

参考資料
1:緩和医療における薬剤師の役割

この学問が向いているかも 医療薬学

湘南医療大学
薬学部 医療薬学科 (仮称)※2021年4月開設予定(設置認可申請中) 教授
加賀谷 肇 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 薬学は薬というモノを扱い、かつての薬剤師の職務は薬を正しく調剤することにありました。しかし、現在は医療現場でのチーム医療の一員として、患者さんと直接コミュニケーションをとりながら、より良い薬物治療について医師と論じるポジションになっています。
 どんなに技術が進んでも、人に向き合い人のために考えることはAIに取って代われません。チーム医療、在宅医療の推進とともに、今後は薬剤師の守備範囲がますます広がっていくでしょう。薬を通して人の役に立つ仕事がしたいと思うなら、ぜひ薬学を学びに来てください。

先生の学問へのきっかけ

 父が鉱山学部の出身だったため、家の中には鉱石のサンプルがたくさんあり、見ているうちに自然と地学に興味を覚えました。そこで大学では白衣を着て地質学を研究しようと考えていましたが、次第に同じ白衣なら患者さんに向かい合うために着たいと思うようになり、医学系をめざすことにし、化学が好きだったので薬学に決めました。当時の薬学部は薬を創るための勉強が多くを占めており、まだ医療貢献という考えは浸透していませんでした。でも患者さんと向かい合いたいという気持ちは一貫しており、卒業後は迷わず医療現場へ出たのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

病院薬剤師/保険薬局薬剤師/製薬会社 学術開発/国家公務員 麻薬取締官/臨床開発企業、化粧品会社、ドラッグストア、医薬品卸売販売業 管理薬剤師/医療機器会社/医薬品・食品などの検査機関/薬事・衛生行政機関など

大学アイコン
加賀谷 肇 先生がいらっしゃる
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 湘南医療大学は、2015年4月に横浜に開学した医療大学です。保健医療学部(看護学科・リハビリテーション学科)があり、2021年4月の開設を目指し、薬学部を設置認可申請中です。
 多くのグループ病院や施設をもつ湘南医療大学は、横浜・湘南地域で、優秀な医療のスペシャリストを育てていきます。ぜひ、夢ナビ講義をお読みいただき、興味をもち、医療への道を目指してみませんか。そんな皆さんの夢を、湘南医療大学が応援します。

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