夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

検索結果一覧へ戻る

講義No.10355

液体や非晶質状態が教えてくれる物理の魅力

形のないものの研究

 化学や物理学で扱う単位として、物質は10の23乗個の原子からなっています。しかし、その最小ユニットはわずか数個の原子の連なりです。結晶とはそれが3次元的に規則正しく連なった固体ですから、最小ユニットさえわかれば結晶全体のこともわかります。一方、気体は互いの距離が広いため、1つの原子や分子の様子から全体の特徴をつかめます。このように固体や気体はとらえ方がはっきりしているため、かなりの部分が明らかにされてきました。しかし、その中間の状態ともいえる液体や非晶質(原子や分子が不規則な配列をしている固体)には多くの謎が残されています。

2種類の水

 私たちの体の大部分を構成する「水」にも大きな謎が残されています。それは「なぜ氷は水に浮くのか」という謎です。ほとんどの物質は同じ体積なら液体より固体の方が重くなりますが、水は例外的に固体の方が軽くなるため、氷が水に浮きます。その理由の核心に迫ることができたのは、この20年ほどのことです。どうやら水には「重たい水」と「軽い水」の2種類が存在し、通常の氷は「軽い水」が固まったものと考えられるのです。これらの存在を実際の水で示すことは困難ですが、ヨウ化スズという物質で二種類の水に相当する状態が現実に存在することを示しました。

動き続けているガラス

 建物の窓やコップなどに使われるガラスには、原子や分子が不規則に並ぶ非晶質状態にあるので、結晶固体にはない、構造的な強さがあります。また、こうした不規則な配列だけでなく、とてつもない長い時間で見ると、その配列が変化し続けるのです。こうした異常緩和と呼ばれる現象の原因は、その説明の糸口が前世紀末にようやく見出されましたが、未だに完全に理解されていません。近年、こうした不規則な運動を研究する分野では、微生物に代表される、自身のエネルギーを消費しながら自発的な運動を持続する「アクティブマター」と呼ばれる物質や物体について盛んに研究されています。


この学問が向いているかも 物理学、統計力学、化学物理学

愛媛大学
理学部 理学科 物理学コース 教授
渕崎 員弘 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校時代は素行不良で担任の先生に迷惑をかけたこともあり、高校生のあなたにアドバイスをする資格はないかもしれません。それでも、これからの日本を背負っていくのは、あなたのような高校生の人たちであると考えています。物的資源の乏しい我が国においては人こそが資源です。ぜひ、そういった意識をもって大学に入り、大いに学んでほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 私は「液-液転移」と呼ばれる、液体間の相転移を中心とした理論・実験研究を行っています。大学入学時は飛行機が好きで、工学的な分野に興味をもっていましたが、徐々に構造から材料の方に興味がシフトしていきました。特に変化が目に見える物の性質の「物理」に強く引きつけられました。研究者になるつもりはなかったのですが、修士課程のときにあるセミナーで発表を行った所、恩師となる先生に見いだされ、研究者の道に進むことになりました。現在は非晶質や液体など、不定形という「形」に心を捕らわれ、研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国立研究機関研究員/国立大学研究員/ソフトウェア―開発/半導体会社研究員/ガラスメーカー開発/高校教員

大学アイコン
渕崎 員弘 先生がいらっしゃる
愛媛大学に関心を持ったら

 愛媛大学は、「学生中心の大学」の実現をめざして、学生の視点に立った改革を進めています。そして、すべての学生が入学から卒業までの過程で、自立した個人として人生を生きていくのに必要な能力を習得することをめざしています。そのため本学では、正課教育のほか、正課外のサークル活動(正課外活動)やボランティア活動、留学、下級生への学習支援(準正課教育)等を通じ、その能力を磨くための多くの機会を設けています。あなたの可能性が広がる学び舎、それが愛媛大学です。

TOPへもどる