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講義No.10351

人間の脳の設計図は5億年前にできた? 脳の研究が解き明かす生物の進化

脳の多様性

 脳は動物によって形や働き方が大きく異なっており、人間の脳の形や見た目はそのひとつにすぎません。原始的な生き物の脳はとても単純な構造だったと考えられますが、進化の枝分かれによって多様な動物が生まれ、脳も進化と多様化を遂げてきました。
 例えば鳥とネズミの脳を比べた場合、両者に同じ特徴があれば、それは枝分かれする前からあった特徴であるといえます。このように、さまざまな脊椎動物の脳を細かく調べ、比較することで、進化の過程を明らかにする学問を、比較形態学や進化形態学といいます。

胚の発生から脳の進化を知る

 しかし、動物の脳をたくさん手に入れることは難しく、また成長した脳は非常に複雑な構造をしているので調べることも困難です。ですから、成長した生物の脳ではなく、発生中の胚を調べ、脳ができていく様子を比較する手法がとられています。例えば鳥とネズミの場合、ある程度までは同じように発生が進みますが、どこかで違う発生を示します。その分岐点が特定できれば両者の脳に共通する要素がわかります。この新しい学問を進化発生学といいます。近年では遺伝子の解析技術が進歩し、大脳や小脳といった特定の部分ができるときにどの遺伝子が関係しているのかも詳しくわかるようになりました。こうしてたくさんの動物の胚からデータを集め、比較・研究することで、脳の基本的な設計図が明らかになっていくのです。

進化の歴史、その先も明らかに

 遺伝子の研究によって、ショウジョウバエの脳をつくる遺伝子の多くが、私たち人間の脳を作る際にも使われていることがわかっています。また、ヤツメウナギやヌタウナギといった原始的な構造をもつ円口類と、哺乳類の脳とは非常に似ていることもわかってきました。このことから、人間の脳の基本型は5億年以上前にはできていた、ということもできます。今後もさらなる研究が進むことで、こうした脳や生物の進化の歴史がより鮮明にわかるだけでなく、今後どのように変わっていくのかという進化の先をも予測できるようになるかもしれません。

参考資料
1:脊椎動物の系統と脳の形態

この学問が向いているかも 進化発生学、比較形態学

愛媛大学
理学部 理学科 生物学コース 教授
村上 安則 先生

先生の著書
メッセージ

 私は、高校時代からたくさん勉強したわけでもなく、大学も偏差値が高い学部に入ったわけではありませんでしたが、結果的に研究者になることができました。研究者になることは簡単ではありませんが、その過程で問われるのは、打算よりもその分野が好きで「これをやりたい」という強い思いであると実感しています。
 「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、たとえ今は勉強が得意でなくても、人生をかけてやってみたいことがあれば、迷わずその道に進んでほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 私は神経系の進化形態学を専門にしています。子どもの頃から生き物に関心があり、特にヘビやトカゲといった爬虫(はちゅう)類が大好きでした。大学も生物学科に入り、研究室では動物が光を認識する仕組みについて研究していました。大学院に進学し、脳や神経についての研究に触れ、現在に至るまで脊椎動物の脳の進化について研究しています。この世界にはさまざまな見た目や特徴をもつ動物がいるように、それぞれがもつ脳も実に多種多様です。脳や神経の研究を通して、生き物の多様性や進化の歴史に迫りたいと考えています。

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村上 安則 先生がいらっしゃる
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