夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

検索結果一覧へ戻る

講義No.10349

偶然の発見が世界を変える 「光を蓄える」という革命

偶然の大発見

 これまでの定説では、光を蓄えることは不可能とされてきましたが、近年ある物質に光が蓄えられることがわかりました。正確にいうと光から受け取ったエネルギーを、1週間程度の長い時間をかけて少しずつ放出する物質が見つかったのです。この物質は金や硫黄、炭素などの化合物で、無機物と有機物の中間のような不思議な特性を持っています。これに電気が流れるか、磁石のような性質を持つかを確かめる実験が行われている際に、光を蓄えることが偶然発見されたのです。

光を蓄える不思議なメカニズム

 私たちが普段浴びている光は、温度に変換すると数万℃にもなる高いエネルギーを持っています。まともに受けると物質が分解してしまうため、あらゆる物質は10の12乗から15乗分の1という短い時間の中で、光のエネルギーを外に逃がします。しかし、物質Aは光を受けると、そのエネルギーによって自身を構成している分子が歪みます。その歪みは約1週間にわたって続き、その間に光から受け取ったエネルギーを熱として少しずつ外に漏らしながら、ゆっくりと元の状態に戻ります。分子の形を歪ませるために必要なエネルギーは、温度にして数万℃であり、光の持つエネルギーと同等であることから、このような不思議な現象が発生するのです。

社会を変える光の力

 光を蓄えて好きなとき好きなところで使えるようになれば、電源がない非常時に灯りをつけることができ、光を電気に変えればスマートフォンなどのバッテリーにすることもできます。また、光のエネルギー量は電気とは比較にならないほど高く、配線なども不要なので、あらゆる電化製品やIT(情報技術)機器がより高速で小型軽量化されることも考えられます。ほかにも、インターネットをはじめとする通信技術分野への応用も期待されます。現在は光を完全に閉じ込めるための研究や、光を好きなときに取り出すための制御の研究が行われています。実用化はまだ先になりそうですが、完成すれば世の中が革命的に変わることは間違いないでしょう。


この学問が向いているかも 固体化学、物性化学、物理化学

愛媛大学
理学部 理学科 化学コース 教授
内藤 俊雄 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 受験勉強を頑張って大学に合格しても、大学に入る目的を持っていなければ、方向を見失ってしまいます。就職するためだけに通うとすれば、大学生活は苦痛で無意味なものになるでしょう。
 私が専門とする基礎研究は、一見社会との結びつきが見えにくい分野ですが、将来の社会をよりよくするためには欠かせない研究です。また、地道な研究を続けることで非常に汎用性の高い能力も身につき、それは将来どんな分野に進んでも役立つはずです。ぜひそうした目的意識を持って、大学に進学してください。

先生の学問へのきっかけ

 私は、光に応答する有機伝導体や、有機超伝導体の電気、磁気、光学測定といった研究を行っています。小さい頃は自然が好きで、理科の授業も好きでしたが、化学は苦手でした。しかし、高校時代の化学の先生の授業がとても面白く、興味を持ったこともあり大学は化学の分野に進みました。大学でも、物理の教授がとても熱心な方で、感銘を受けて物理化学や物性化学にのめり込みました。以来、やればやるほどこの分野の奥深さが感じられるようになり、現在まで研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社技術販売員/機械部品製造現場/国立大学教員/高校教員/税関検疫監査員/ソフトウェア開発

研究室
大学アイコン
内藤 俊雄 先生がいらっしゃる
愛媛大学に関心を持ったら

 愛媛大学は、「学生中心の大学」の実現をめざして、学生の視点に立った改革を進めています。そして、すべての学生が入学から卒業までの過程で、自立した個人として人生を生きていくのに必要な能力を習得することをめざしています。そのため本学では、正課教育のほか、正課外のサークル活動(正課外活動)やボランティア活動、留学、下級生への学習支援(準正課教育)等を通じ、その能力を磨くための多くの機会を設けています。あなたの可能性が広がる学び舎、それが愛媛大学です。

TOPへもどる