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講義No.10346

「プラス1」で食生活を改善 公衆栄養学に大切な教育と環境改善

食事を改善するためのプラス1

 2019年にナイジェリアの母子を対象とした食事調査が行われました。食品群をいくつ摂取したかなど食生活に関する質問のほか、母親の学歴や経済状況なども回答してもらうものです。すると学歴や収入が低い家庭ほど、摂取している食品群が少ないという結果が出ました。一人ひとりの経済状況や学歴などに立ち入ることは困難ですが、栄養面から改善策を提案することは可能です。例えば主食のみ摂取するのではなく、お粥にナッツ類をプラス1品追加するなど、現地でも手軽に実践できる方法を提案します。

農業との連携

 食生活の改善は現地の保健センターのスタッフと協力して実施されますが、農業部門とも連携します。食事へのプラス1を実現するためには、栽培している作物の種類を増やすことも大切だからです。例えばトウモロコシのみを栽培していた畑でほかの野菜も作るためには、農家の協力が不可欠です。しかし農家が作物の栽培方法を知らない場合もあるので、栽培する作物の提案だけでなく、農業指導も行います。また消費者にも、買い物をするときに主食だけではなく、栄養素を補うための食品を選べるように改善策を提示します。しかし知識はあっても行動に移すことが難しい人も多いので、教育や実践をくり返したり、地道に環境を改善したりして、人々の行動を変えることが大切です。

レベルに合わせた食事の実践

 栄養教育をする際、理想の食事メニューを見せていい人と、見せてはいけない人がいます。例えば栄養知識が豊富な人は、「プラス1だけでは食事の改善にはならない」ととらえられてしまいますので、理想のメニューを提示して説明します。しかし栄養の知識があまりない人に初めから理想的なメニューを見せるとハードルが上がってしまい、実現できないと思われてしまいます。そのためプラス1など簡単にできることから提案し、食事に対する理解度の進捗に合わせて理想的なメニューを実現する方法を提案します。相手によって情報の出し方を変えることも、公衆栄養学では重要な視点なのです。


この学問が向いているかも 公衆栄養学、栄養教育、国際保健

長野県立大学
健康発達学部 食健康学科 准教授
草間 かおる 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 管理栄養士が、栄養について伝えるときは、相手の年齢や知識、関心などの状況に合わせて話をします。そのために多くの引き出しが必要です。海外の食生活を目にして衝撃を受けることも、引き出しを増やす手段の一つです。
 人間は食べなければ生きていけないので、食事はとても身近なテーマです。そのため管理栄養士の活躍する場は行政、病院、福祉施設など多岐に渡ります。栄養学に必要な視点は3つあり、身体、食事、そして身体と食事の関係性について学びます。食の専門家として世界に羽ばたけるよう、大学で存分に経験を積んでください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から料理が好きでした。家族がほめてくれることが嬉しかったからです。また、家族でネパールに行ったときに、現地の人が川で釣った小魚をそのまま口に入れていた光景に衝撃を受けます。帰国後に世界の食文化を調べると、海外では意外と栄養士が少ないことや、食の重要性の認識が高くない国もあることに気づきました。「栄養状態を改善するには食材をひとつ追加するだけでも始められるのに」と思い、研究テーマに選びました。現在はアフリカやアジアの地域と連携をとりながら、食生活改善のプロジェクトに取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

都道府県・市町村行政栄養士/栄養教諭/病院/高齢者施設/児童施設/障がい者施設/委託給食会社/食品会社/薬局/スポーツクラブなど

大学アイコン
草間 かおる 先生がいらっしゃる
長野県立大学に関心を持ったら

 長野県立大学は、2018年4月に長野市に開学した県立大学です。
 グローバルな視野を持って未来を切り拓き、イノベーションを起こし、新たな価値を創出する”地域のリーダー”となる人材を育成しています。
 グローバルマネジメント学部(グローバルマネジメント学科)と健康発達学部(食健康学科、こども学科)の2学部3学科を置いています。大学の特長としては、1年次全寮制、2年次全員参加海外プログラム、少人数教育があげられ、3~4年次にはアクティブラーニングで専門分野の知識を深めます。

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