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講義No.10341

女性が人生を切り開くためには? ドイツ文学における女性像の変化

ドイツにおける女性作家の登場

 1920年代から1930年代のドイツではグローバリゼーションが進むとともに、映画や雑誌、新聞などのマスメディアが発達します。それによって男性だけでなく、女性も読者(メディアの顧客)として重視されるようになり、女性のニーズに応えられる作家が求められるようになります。それまでのドイツ文学における女性像は、男性作家によって作られたイメージにすぎません。しかし1920年代から登場した若い女性作家の作品では、消費やファッションに興味がある女性、働く女性などが等身大の「女の子」として描かれました。

ナチス時代の断絶

 しかし1933年にナチスが政権を握ると、「国民を生む母」としての女性像が求められるようになります。反ナチ、あるいはユダヤ系の作家の多くが国外に亡命したほか、国内にとどまり沈黙を選んだものもいました。ナチス時代および第二次世界大戦以降、これらの女性たちは忘れ去られ、彼女たちが注目され、再評価されるようになったのは、ようやく1980年代に入ってからのことです。

文学の中に反映された社会

 例えばイルムガルト・コインによる『人工シルクの女の子』という作品では、仕事にもおしゃれにも一生懸命な女性主人公が登場します。やがて法律事務所で働く主人公は、上司からのセクハラに反論したせいで失業します。その後、彼女は映画スターをめざしますが、うまくいきません。若さだけを武器にしてきた、財産も教養もない主人公は、大恐慌下のドイツで路頭に迷ってしまいます。1920年代から1930年代に女性作家が生み出した作品には、セクハラや会社で女性が昇進しづらい状況など、当時の社会を反映した描写が多く見られます。
 『人工シルクの女の子』では、流行の最先端をいく若い女性も描かれていますが、年を取ると、彼女たちは交換可能な部品のような扱いを受けます。若さだけで刹那的な勝利は得られるけれど、人生を切り開くことはできないというシビアな視点は、現代にも通じています。


この学問が向いているかも 外国文学、ドイツ文学、ジェンダー論

フェリス女学院大学
国際交流学部 国際交流学科 教授
田丸 理砂 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 今いる場所だけが、あなたの居場所とは限りません。ほかの世界にもうひとつ軸足を持つと、将来生きていく上での宝が得られるはずです。例えば留学などの体験は、自分が住んでいる所以外にも生きる場所があると気づかせてくれます。私は外国語の会話は得意ではありませんでしたが、留学によって人生の支えを得ることができました。
 同じように文学の世界では、今あなたが生きている世界とは異なる文化や場所を知ることができます。母語以外の言語を使いこなせると、これまで知らなかった価値を見つけ出すことができるかもしれません。

先生の学問へのきっかけ

 もともと本を読むことが好きで、高校生の頃の読書がきっかけで、大学ではドイツ語・ドイツ文学を学びました。外国文学とともに、ジェンダーの問題にも関心があり、1920年代から1930年代のドイツの女性作家が小説や映画で描いた「女の子」に着目し、世界各地のモダン・ガール現象との関連や、現代にも通じる女性像を探ることで、女性の在り方を問いただすことをめざして研究しています。またドイツに滞在した際、ヨーロッパにおける難民問題を目の当たりにし、現在では1933年以降の亡命や難民に関するテーマへと研究を拡げています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

保険/銀行/システムエンジニア/航空関係(キャビンアテンダント、グランドスタッフなど)

大学アイコン
田丸 理砂 先生がいらっしゃる
フェリス女学院大学に関心を持ったら

 フェリス女学院大学は、1870年に日本初のキリスト教系女子教育機関として誕生して以来、
 「For Others」をモットーに自立した女性を育成することを目的として教育を続けてきました。
 主体性を伸ばす少人数教育やきめ細やかな学習サポート、豊富な海外留学制度や個人相談を重視した就職サポートなど、学生の意欲と質を高める制度も充実しています。
 創立者メアリー・E・キダーは、明治期に女子教育を行うという目標に果敢に取り組みました。フェリス女学院大学で、あなたらしい目標を探してチャレンジしてみませんか?

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