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講義No.10296

レーザとコンピュータで見えない病気を見つける

レーザ治療と光診断

 レーザが発明されたその翌年には、眼科でレーザを用いた治療が始まりました。レーザを使えば、接触することなく組織を切り取ったり焼いたりすることができるため、衛生的で低侵襲(体へのダメージが少ない)な手術が可能になります。また、弱いレーザ光を人体に当ててその減衰や散乱を分析してみると、人体に関する多くの情報を引き出すことができます。例えば、血液の酸素飽和度、血流の速さ、癌の有無、血管にこびりついたプラークの量、血糖値など、光を当てるだけの新しい診断や検査方法が今も世界中で研究されています。

光ファイバ+連立方程式=世界一細い内視鏡?

 レーザ光を体内に導くには細くて柔らかい光ファイバが必要です。これまで、光ファイバは点から点へ光を伝えることしかできませんでしたが、観察したい場所は1つの点ではなく広い面かもしれません。面を観察するには内視鏡が必要ですが、通常の内視鏡で観察できるのは表面の形状や色のみで、レーザを使った高度な計測には必ずしも使えないのです。そこで、「単一ファイバイメージング法」が開発されました。これは、その名の通り一本の光ファイバを用いて画像を取得する方法です。レーザ光が作る光の模様を記録し、計測値を加えた連立方程式をコンピュータで解くことで実現できます。光ファイバの先端はおおよそ100ミクロン。先端にはレンズも精密機械も不要なため、髪の毛ほどの細い内視鏡が実現できることになります。

コンピュータの力で光の限界を突破する

 コンピュータとレーザのコラボレーションは更に多くの課題を解決するかもしれません。生体組織は光を強く散乱するので、1センチも深いところで癌の状態を観察するのは困難です。うつ病などの精神疾患の謎を解くためには脳の中で活動している神経細胞を直接見るための方法を早く見つけなければなりません。これらの解決には、レンズやセンサの性能向上と新しい物理現象の応用に加え、限られた測定データから多くの情報を引き出すコンピュータの力を活用する必要がありそうです。


この学問が向いているかも 医用工学

富山大学
工学部 知能情報工学コース 教授
片桐 崇史 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 自分の高校時代を振り返ってみると、得意なことは見え始めていましたが、将来の仕事や生活のイメージは全く持っていなかったように思います。大学で出会った研究が楽しかったのと、少しだけ自信を持ったことで研究者の道に進むこととなり、今はとても楽しく刺激的な毎日を過ごしています。今、明確な目標がない人ほど大学で人生を左右するような大きな変化が待っているかもしれません。ぜひ楽しみにしていてほしいですね。

先生の学問へのきっかけ

 医用工学の分野を志したのは大学生のころです。専門の電気電子工学を人のためになることに活かしたいと考え、医用電子工学を独学で学び始めました。大学院では医療用の特殊光ファイバの研究に取り組み、ポスドク時代には、光ファイバをがん診断用の内視鏡へ応用しました。その後1年半、民間企業でテラヘルツという特殊な光を研究し、母校へ戻って光ファイバと再び向き合いました。現在は光ファイバを利用した極細径内視鏡の開発や、人体を傷つけずに組織深部の状態を調べるにはどうしたらいいか、などを主なテーマとしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

医療機器メーカー研究開発/光学機器メーカー研究開発/電子機器メーカー研究開発/自動車メーカー研究開発/電力技術マネジメント/情報通信技術マネジメント

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片桐 崇史 先生がいらっしゃる
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