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講義No.10294

目に見えない世界を見る! 視覚を拡張させるコンピュータビジョン

見えないものを見る技術

 コンピュータでものを見る技術を「コンピュータビジョン」といいます。この技術を美容分野に応用すれば、人の肌の状態や肌質をコンピュータが人の顔を見て分析した上で、実物の化粧品データと合成し、化粧後の姿を予測してCGで表示します。つまり実際に化粧をしなくても、その化粧をした姿を仮想空間内(CG,VR,AR)で見ることができます。この技術は人間の目では分からないような微細部分の肌質(肌のキメ、透明感、水分量など)や肌の状態を可視化できるので、肌診断にも応用できます。

産業で求められるCG

 化粧品開発分野などのシミュレーション用のCGと映像作品としてのCGとでは重視する点が異なります。どちらも一見本物そっくりですが、シミュレーションでは、単に美しいCGを作ればよいのではありません。コンピュータビジョンとCGの技術を組み合わせて、実物の肌や化粧品の質感を詳細に計測・分析し、肌質に加えて疲労・加齢・スキンケアなどを含めた肌の状態を本物と同じように忠実に再現したり、周囲環境により変化する肌質を予測したりする技術が必要となります。

遠隔医療に貢献するコンピュータビジョン

 5Gなどの通信技術が普及すると、大規模なデータ通信が可能になり、コンピュータビジョンやCG技術の可能性はさらに広がります。例えば遠隔医療です。医師と患者は直接会って話ができないため、VR技術と組み合わせて、まるで目の前で診察をしているように見える可視化技術が求められます。しかも、肉眼で見るより高度な診断ができる可能性もあります。
 コンピュータでものを見る強みは、人間には扱いきれない膨大な情報を処理したり、人の視覚を拡張したりできる点です。例えばがんの患部は肉眼では判別が難しい場合がありますが、特別なカメラとソフトウェアを使うことによって、明確に見分けることができます。コンピュータビジョンと医療データベースを用いて患部を観察し分析することで、患部を可視化できれば、肉眼で見るよりも正確な診断ができることが期待されています。


この学問が向いているかも 情報工学、画像工学

長野大学
企業情報学部 企業情報学科 教授
田中 法博 先生

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メッセージ

 コンピュータでものを見る技術を使えば、これまで見ることのできなかった世界を目にすることができるようになります。コンピュータに視覚を与える技術を開発し、人間を支援するための技術を創り出すことで、これまで誰もできなかったことが、新たにできるようになることが学問的なおもしろさです。
 現在の科学技術や産業の発展はソフトウェアに大きく依存しているので、情報産業で新しいアイデアを出せる人材が重要になっていくでしょう。コンピュータでものを見る技術を学んで、まだ誰も見たことのない世界を一緒に発見していきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃に観たSFドラマの中で、エンジニアが「VR空間内に再現された歴史上の科学者」と議論したり、知識を教わったりしながら、危機を脱するための解決策を見つけるというストーリーに衝撃を受けました。ここからコンピュータの力を借りて、自分の能力を拡張できるという考え方に興味を持ち、「コンピュータでモノを見る技術」の研究を始めるきっかけになりました。現在は、コンピュータビジョンと3DCG技術を融合させて、人の肌の状態を分析・可視化したり、文化財の昔の姿をVR空間内に再現したりする研究を行っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

ソフトウェア会社SE/ゲームソフトウェア会社プランナー/ハードウェアメーカー組み込み機器開発エンジニア(ソフト+ハードの技術者)

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田中 法博 先生がいらっしゃる
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 長野大学は、1966年に地域の熱い期待を背負って誕生した「地域立」の大学です。本学は地域にある課題を発見し、地域とともに解決していく実践的な学びを大切にしています。地域には豊かな自然環境や歴史が宿る文化遺産、経済を牽引する産業や観光資源、安心して暮らせるまちづくりなど学びの要素があふれています。地域社会をフィールドに、主体的に考える力や、問題に対して多面的に取り組む力を養いながら漠然とした問題を明確化し、逆境に立ち向かっていける足腰の強い人材を育成します。

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