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講義No.10230

より効果的な化学反応のために「酵素」の再現をめざす

優秀な触媒「酵素」

 身のまわりにある医薬品や化粧品、農薬、プラスチックなどの多くは、有機合成によって人工的につくられた有機化合物が使われています。これらの物質をつくるには、化学反応を促進する触媒が欠かせません。そして、自然界に存在する優秀な触媒となる物質が、タンパク質のひとつである「酵素」です。
 酵素は、私たちの生命を維持するために消化、分解、同化といった代謝の働きをしています。その目的を果たすために、何千もの分子の中から必要なAやBの特定分子を正確に取り込み、化学反応を促してCという物質をつくったり、違うものを排除したりします。酵素機能を持つ高分子を人工的につくれば、より生産性が高い高分子触媒ができるはずです。

酵素の構造や特徴を解明

 ところが、水分や温度、圧力など体内と同じ環境をつくっても、フラスコの中では酵素の働きを再現できません。それだけ、タンパク質は複雑で多様な要素が絡み合っているのです。また、酵素は非常に数多く存在し、特定の働きをする酵素をつくること自体が困難です。
 自然界の高分子であるタンパク質、中でも酵素はどのような構造をしているのでしょうか。タンパク質は20種のアミノ酸が何百個と順番につながることで初めてその機能を果たせるようになります。これを正しくつなげることがとても難しいのです。

アミノ酸の配列パターンが手がかりに

 酵素の中にある数百個のアミノ酸配列の情報が解析できれば、体内での酵素の働きを再現することができるかもしれません。そこで、実際に400万近くのアミノ酸の配列を解析した結果、酵素の構造のパターンの糸口が見えつつあります。例えば100個のアミノ酸のつながりがあるとすると、40個と60個とに分けられるユニットがあります。さらに細かく分け、最初の最小ユニットのパターンを調べることで、どんな酵素かがわかるようになるというわけです。
 こうした生命工学に関わる研究は、有機化合物の合成の効率化はもちろん、生命の解明にもつながる研究です。


この学問が向いているかも 応用化学、生命工学

豊橋技術科学大学
工学部 応用化学・生命工学系 教授
伊津野 真一 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 専門だからとひとつのことだけを見すぎると、視野が狭くなりがちで、研究や実験で行き詰まることも出てくるでしょう。世の中は広く、いろいろな事象が複雑に関連しているものです。
 工学系に進学したい人は特に、文系の分野や芸術などにも意識して触れておきましょう。一見すると関係ないようなことが良いのです。その経験が、研究や学びの中でふとした思いつきやアイデアにつながっていきます。あなたも高校生のうちに、たくさんの経験を積むことをおすすめします。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代、理科の実験が大好きでした。実験で色や物質が変化するのは、分子が変化しているからだと気づいたことで、化学に興味が湧き、そのまま大学も化学の分野に進みました。大学では有機化合物について研究しましたが、やりがいはあるものの難しい分野であることを痛感しました。それと同時に、世界で誰もつくったことのない、新しい分子構造を設計し、自らの手でつくれることを目の当たりにし、今までに世の中になかったものを作り出すことに、どんどん夢中になっていきました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

化学系製造業/有機合成研究員/高分子合成研究員

大学アイコン
伊津野 真一 先生がいらっしゃる
豊橋技術科学大学に関心を持ったら

 本学は、平成28年10月に創立40周年を迎えた工学系単科大学で、世界に開かれたトップクラスの工学系大学をめざしています。社会産業構造の変化、グローバル化時代に対応した人材育成の要求に対応するため、「基幹産業を支える先端的技術分野」と「持続的発展社会のための先導的技術分野」の2つの柱(5課程)で成り立っています。卒業生・修了生は「実践的・指導的技術者」として日本を代表する企業で活躍しています。

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