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講義No.10208

地域によって生態が違うカブトムシのヒミツ

角が大きい方がいいはずなのに

 昆虫の中でも、子どもたちに大人気のカブトムシですが、実は、地域によって角の大きさが違います。鹿児島県の屋久島や長崎県の福江島に生息するカブトムシは、他の地域のものより角が短いのです。オスにだけあるカブトムシの角は、けんかをしてライバルのオスを追いやって、えさやメスを獲得するためのものです。ですから、大きく長い方が優位なように思われますが、なぜ屋久島や福江島のカブトムシの角は短いのでしょうか。

島のカブトムシの角が短いわけは?

 これには、体が大きいとカラスやタヌキなどの天敵に狙われやすいのではないか、あるいは角が小さいと、エネルギーが他の部位に蓄えられてより長生きできるのではないか、といった仮説が立てられます。そこで、天敵に襲われたカブトムシの残骸の解析や、島と本州の環境の違いの比較などを行いました。その結果、まだ理由は明らかになっていませんが、天敵の密度の違いやえさ場の状況、けんかの頻度など、島特有の環境が影響しているのではないかということがわかってきています。

地域によって幼虫の成長スピードも変わる

 また、地域によってカブトムシの幼虫の成長スピードが異なることもわかっています。通常、ふ化したときに40ミリグラム程度のカブトムシの幼虫は、たった1~2カ月で30グラムまで成長しますが、台湾や沖縄など南国のカブトムシの成長はもっとゆるやかなのです。そこで立てられた仮説が、寒い地域では冬の間に成長できないために、寒くなるまでの期間に急速に大きくなるのではないか、早く大きくなるのは寒さを乗り越えるのに有利にする戦略なのではないか、というものです。実際に青森から台湾まで緯度の違う地域でカブトムシをサンプリングし、同じ環境で飼育してみると、緯度が低くなるほど成長が遅いという仮説通りの結果となりました。このように、地域内での生態や環境の変化に注目しながら昆虫の生態や進化を解明していくのが、昆虫生態学です。


この学問が向いているかも 昆虫生態学、進化学、動物行動学

山口大学
理学部 生物・化学科 助教
小島 渉 先生

メッセージ

 私は、カブトムシについて研究しています。誰もが知っている虫なのに、誰も知らないことを見つけることができるのが、この研究の一番の醍醐味(だいごみ)です。疑問に思うことがあると、まずはなぜそうなるのかという仮説を立て、それから現地に行って昆虫を採集したり、データを取ったりします。そうした、フィールドワークが多いのもこの研究の魅力です。
 勉強や経験から得た知識は、どんな分野のことでも、決して無駄にはなりません。どこかで必ず役に立つので、いろいろなことに興味を持って学んでいってください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から生き物は何でも好きで、ヘビやカマキリ、タガメ、フンや死体を食べる虫などを採ってきては飼っていました。クワガタムシやチョウの図鑑、タガメに関する本などはボロボロになるまで読み、大学で生態学や進化学についての講義を聞き、学問として興味を持つようになりました。大学4年生の時、公園で倒木をどけたらカブトムシの幼虫がゴロゴロいるのを見て、「なぜこんなにかたまって一緒にいるのか」という疑問を持ったことをきっかけにカブトムシ研究を本格的に始め、カブトムシのことなら何でも研究してきました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

博物館学芸員

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小島 渉 先生がいらっしゃる
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