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講義No.10130

「鏡に映った手」が脳をだます?! 作業療法の世界

脳に勘違いをさせる「鏡の療法」

 作業療法とは患者さんの心身を回復させ、生活行為や役割などの「作業」を再建しようというものです。アプローチ方法の中に「ミラーセラピー」があります。このセラピーには箱の中央に鏡を立てたミラーボックスという道具を使います。鏡を右向きにして鏡を挟んだ状態で両手を入れて鏡を見ると右手が映り、鏡を左向きにするとその逆になります。
 これを左半身にまひがある方が行う場合、右手をミラーボックスの中で動かし、鏡に映った手を見ると、まひで動かない左手があたかも動いているかのように感じられ、とても不思議な感覚を味わいます。この時に起こる、いわば「脳の錯覚」のような事象がまひの回復に役立つと考えられるのです。

ちょっとした動作も実は難しい

 脳卒中で脳の血管が破れるなどして右脳を損傷すると、左半身の手足にまひや感覚障害が起こることがあります。例えば「鉛筆を持ち上げる」という動作では、私たちは親指と人さし指などで鉛筆の情報を感じながら、指に力を入れて鉛筆をつまみます。ところが脳卒中でまひのある患者さんは鉛筆の情報が感じられなくなったり、思うように指に力が入らず運動がぶれてしまい、鉛筆をつまみ持ち上げることがとても難しくなります。

作業療法士は「作業」の力で治療する

 現在、脳卒中のリハビリでは、まひしていても「積極的に動かす」ことで脳神経のつなぎ目のシナプスを変化させ、神経の再構成を促そう、という考えがあります。ミラーセラピーでは脳に与える「まひのある手が動く視覚情報やイメージ」が重要な刺激になると考えられるのです。もちろん、ミラーセラピーは一つの治療法に過ぎません。作業療法士はいろいろな「作業」の力で機能回復を促します。ここで言う「作業」は治療手段のことで、決まったものはなく、お手玉や積み木のような物を使った活動、ゲームや趣味活動、実際の生活動作など、患者さんの状態に応じて考えます。患者さんの機能回復を促す「作業」をいかに取り入れるかが作業療法士の腕の見せどころと言えます。


この学問が向いているかも 作業療法学

兵庫医療大学
リハビリテーション学部 作業療法学科 講師
平上 尚吾 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校生の間は、友人との時間や学校行事などを通しての経験は積み重ねても、広い「社会」に触れる機会はなかなかないでしょう。私自身も、高校生の時に知っている世界は今にして思えばとても狭く、いろいろな仕事があるのは知っていても、具体的に何をするのか、その仕事をするためには今何をしなければならないかなど、将来に対する具体的なイメージを持てませんでした。
 機会があれば、仕事に限らずいろいろなことにチャレンジし積極的に触れてみましょう。その知識や経験を、あなたの進路選択につなげてください。

先生の学問へのきっかけ

 作業療法について興味を持ったのは、進路を真剣に考えなくてはならなくなった高校3年生の時でした。その時、小さい頃、理学療法士をしていた父の職場に遊びに行った時、大変な障害を乗り越えようとしている患者さんに寄り添い、使命感を持って一生懸命働く父の姿が思い起こされました。そして作業療法士となって働き始めたのですが、人の回復にはいろいろな要素が混じり合っていて、このリハビリの世界にはまだわかっていないことが多くあることを実感し、興味や疑問がどんどん湧いてきました。そこできちんと研究しようと決意しました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

リハビリテーション医療施設の作業療法士

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平上 尚吾 先生がいらっしゃる
兵庫医療大学に関心を持ったら

 本学は、医師の養成に長年の実績を持つ兵庫医科大学の併設兄弟校として、医療系3学部を擁する医療の総合大学。兵庫医科大学病院をはじめとした医科大学附属施設での充実した臨床実習や、医学部も含めた4学部合同でともに「チーム医療」を学ぶ学部合同科目を軸とした教育プログラムにより、今医療現場で求められている「チーム医療」を担う医療人を育成します。

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