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講義No.10127

乗り物から医療まで、社会を豊かにする「超伝導」の不思議な力

リニアモーターカーを動かす超伝導

 物質の温度を下げていくと、ある時点で電気抵抗がゼロになります。このような現象を超伝導といいます。超伝導状態にある物質(超伝導体)には、通常よりはるかに多くの電流を流すことができます。また、超伝導体をコイル状に巻いて電流を流すと、超伝導マグネットという強力な電磁石ができ、時速500km以上のリニアモーターカーを動かす動力にも使われています。ほかにも、病院で体の中を撮影して診断するために使われているMRIも、超伝導マグネットの強力な磁気が使われています。

いかに温度を高めるか

 超伝導状態にするには、極低温を作り出す必要があり、それにはコストがかかるため、応用研究の分野ではいかに高い温度で超伝導状態を発生させるかが大きなテーマです。1911年、世界で初めて超伝導を発見したオンネスの時代は、水銀を使って4.2ケルビンという絶対温度で超伝導状態になりました。1950年代に20ケルビンに、1980年代には90ケルビンにまで一気に高まり、現在では120ケルビンにまで上昇しています。病院のMRIは、現在液体ヘリウムなどで冷やす必要がありますが、このまま進めば室温で超伝導状態を作り出せるかもしれません。
 超伝導の仕組みが解明されたのは1957年のことです。物質の原子の周りには、電子が独立して動いていますが、低温状態では2つの電子がペアを組むようになり、これが超伝導状態を発生させているのです。これを、発見した3人の研究者の名前の頭文字を冠してBCS理論といいます。

鉄化合物も超伝導状態に

 超伝導は多くの可能性と謎を秘めています。超伝導体になる物質は、銅の酸化物がメインとされてきましたが、近年では鉄の化合物でも超伝導が発生することが発見されました。鉄とセレンの化合物をはじめ200種類以上あり、超伝導の可能性を一気に広げる発見となりましたが、鉄系超伝導がなぜ起こるのかはまだ解明されておらず、世界中の研究者が知恵を絞って挑んでいます。


この学問が向いているかも 物性物理学、量子物性学、超伝導工学

島根大学
総合理工学部 物理・マテリアル工学科 教授
三好 清貴 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 あなたが大学に入り、そこで学んだことが就職した後に、すぐに役立つとは限りません。私が専門としている超伝導も、ほとんどの企業にはあまり関係がないことだと思います。だからといって、大学では会社に入って役立つことだけを学ぶというのはつまらないと思います。
 ぜひ、「役立つ何か」よりも、「面白いと思えること」を見つけて、勉強してください。そうすることで、あなた自身で考え行動できるようになりますし、それが人としての成長や、社会で求められる力を養うことにもつながるはずです。

先生の学問へのきっかけ

 子どものころからものづくりが好きだったため、大学は工学系に進み、中でも物理学寄りの研究室に所属しました。そこで液体ヘリウムなどを使った低温状態の実験に携わったことがきっかけとなり、低温物性学や磁性学の分野に興味を持ちました。やがて、課題やテーマを深く掘り下げていく研究活動にやりがいを見出すようになり、大学院を経て超伝導をはじめとする基礎研究の道に進みました。大学教授となった現在も、自らの手と頭を使って実験に必要な器具を作っており、ゼミの学生たちにも、自主性をもって考え、学ぶように指導しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

電器・機械メーカー開発・設計/IT系企業システムエンジニア/中学・高校教員

大学アイコン
三好 清貴 先生がいらっしゃる
島根大学に関心を持ったら

 島根大学は、学術の中心として深く真理を探究し、専門の学芸を教授研究するとともに、教育・研究・医療及び社会貢献を通じて、自然と共生する豊かな社会の発展に努めています。とりわけ、世界的視野を持って、平和な国際社会の発展と社会進歩のために奉仕する人材を養成することを使命とします。この使命を実現するため、知と文化の拠点として培った伝統と精神を重んじ、「地域に根ざし、地域社会から世界に発信する個性輝く大学」を目指すとともに、学生・教職員の協同のもと、学生が育ち、学生とともに育つ大学づくりを推進しています。

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