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講義No.10121

都市から社会を「発見」する~失われた「界隈性」とは?

どこも同じような街に

 日本中の街や都市が、どこも同じような風景、表情になってきていると感じたことはありませんか。大手チェーンのスーパーマーケットやカフェ、ファストファッション店などばかりで、ぱっと見ただけでは、そこがどこの街なのかすぐにはわかりません。これは都市や街が均質化し、街の個性が失われてきていることと関係があると考えられます。
 例えば、オリンピックなどの巨大プロジェクトに関連して、再開発が行われると、街にそれまであった「人と人とのつながりから生み出される賑わい」が失われてしまうことがあります。

開発で失われる小さな公共の空間

 かつてジェイン・ジェイコブズという人が、1960年代のアメリカの都市について、近代的な都市計画によって大きな道路をつくるなど整然とした都市空間が作り出された結果、それまで路地や裏町のような小さな空間で生み出されていた人々のつながりが失われたと指摘しました。都市には人と人とが触れあい、助け合う小さな公共の空間、つまり「界隈(かいわい)」が必要であると提言しています。
 ジェイコブスの提言から約半世紀を経ても、結局、世界中の都市はどんどん合理的・機能的に整備されてきました。しかし、その結果、マイノリティや貧困層の人々が追い出されて、かつてあったような、いろいろな職業や年齢、階層など、多様性のある他者と出会う機会が失われてしまったとも言えます。

都市の課題や問題を社会の中から見つける

 都市で起きている問題はその社会の状況を反映しています。界隈性の消失は近年の社会の分極化とも関連しているといえるでしょう。都市問題は他にもさまざまなものがあり、その現れ方はそれぞれの国や地域によって違ってきます。例えば地方都市は人口の流出に伴い、さまざまな歪みが表面化しています。
 「社会学」「都市科学」は、社会や都市の抱えるさまざまな問題や課題を具体的な社会の中から見つけ、それを解決することを大きな目的とする学問です。


この学問が向いているかも 社会学、都市社会学、地域社会学

横浜国立大学
都市科学部 都市社会共生学科 准教授
三浦 倫平 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 「都市科学部」は、これからの都市はどうあるべきかについて、文理融合的な視点から研究する学部です。都市を科学的に学ぶためには、これまでの歴史を学び、人々が都市をめぐり創り出してきたさまざまな「知」(人文知や技術知)を理解することが必要です。その中でも私が専門とする「都市社会学」は、都市で起こっているさまざまな現象から今の社会の状況を浮かび上がらせる学問です。
 高校生のときには、受験勉強だけでなくいろいろな物事に興味・関心を持つことが大事です。それはきっとあなたの将来にとって大きな支えになるはずです。

先生の学問へのきっかけ

 父の仕事の関係で十代の一時期をオーストリアのウィーンで過ごしました。海外のいろいろな都市を見る機会も多く、都市ごとに「空気感」が違い、歴史や文化、経済状況などによってその現れ方が異なることを身体で感じました。また、ウィーンの町は好きでしたが、人種差別や偏見も経験しました。それらの経験から国や社会を「観察者」の視点で見て異文化を記述したいという気持ちが芽生えました。帰国して日本に住むようになると、日本にも知らない世界があることに気づき、日本を観察したいという思いから社会学を学ぶようになりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

官公庁都市計画/NPOまちづくり/広告マーケティング

大学アイコン
三浦 倫平 先生がいらっしゃる
横浜国立大学に関心を持ったら

 横浜国立大学は、高い国際性と実践的な学問を尊重し、社会に開かれた大学をめざします。全学部の学生がひとつのキャンパスで学び、学部の垣根を越えた交流ができ、国立大学には数少ない経営学部も置かれています。新しい潮流を起こして21世紀の人類社会に貢献できるよう、社会からの要請を的確に把握し、国民から委ねられた資源を有効に活用しつつその活動を開放し、社会の期待に応えます。

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