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講義No.10115

タンパク質をブロックのように操り、新しい材料をつくる

タンパク質で工学的ものづくり

 生まれたてのタンパク質はぶらぶらしたひもの状態です。適切な環境下におくと、折りたたまれて、機能性のある物体へと変化します。こうした自発的な高次構造は、タンパク質を構成するアミノ酸の種類と配列によって決まっています。しかし、不適切な環境下におくと、タンパク質は分子間の相互作用によって集まり、その結果、強固な繊維状の物質になります。この物質がアミロイドです。アミロイドはアルツハイマー型認知症や狂牛病など、さまざまな病気の原因物質と考えられており、医学的に重要な研究対象となっています。工学的にも近年、アミロイドを新しいものづくりにつなげる研究が進められています。

光るアミロイドをつくる

 タンパク質をブロックのようなパーツととらえて、きれいに並べ、新しい機能を持つ材料にできないか、というのがアイデアの出発点です。アミロイドはタンパク質ですが、高次構造が崩れて本来の機能が失われた状態です。そこで、アミロイドにほかの物質をくっつけることで新しい機能を持たせられるかという実験が行われました。タンパク質の持つ感応器を「のりしろ」ととらえて、そこにGFPという蛍光性のタンパク質を付けたのです。すると「光るアミロイド」が実現しました。付けた分子を切り離したり別の分子に置き換えたりすることを可能にするために、「のり」には酵素が使われました。

環境にも優しい材料を

 現在はアミロイドに何がくっつけられるかを試している段階で、アミロイドからどのような材料がつくり出せるのか、まだわかっていません。ただ、アミロイドを光らせ可視化できることで、まだあまり知られていないアミロイドの成長や細胞内での動きを解明する上で役立つと考えられていますし、いろいろなタンパク質の研究にも応用がききます。
 タンパク質由来の機能性高分子材料を生化学の手法を使って開発できれば、環境への負荷も少なく、社会的にも関心の高い問題の解決も進展していくでしょう。


この学問が向いているかも 生化学、タンパク質工学

富山大学
工学部 工学科 応用化学コース 准教授
迫野 昌文 先生

メッセージ

 工学部の化学では合成、分析、理論など、さまざまなアプローチの方法が学べます。化学に興味があるけど、将来のめざす先が決まっていないというあなたは、工学部の化学を選択肢に加えてみてはどうでしょうか。
 私の専門はタンパク質工学ですが、研究室では生体分子に関わるテーマを広く扱っており、遺伝子を研究する学生もいます。「どうしてこうなるのか」という疑問を持つことが、新しい研究を生むベースとなります。生物の持つ高度な機能を化学の力でどこまで解明できるか、あなたの新しいアイデアを吹き込んでください。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代、『精神と物質 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか』という、ジャーナリストの立花隆さんとノーベル賞受賞者の生物学者利根川進さんによる対談本に出会い、「化学こそが生物を明らかにするツールである」という内容に強く心を動かされて、応用化学に進むことを決意しました。大学ではひたすら分子を学び、卒業研究でタンパク質のフォールディングの研究に取り組んだことを機に「タンパク質工学」を専門とするようになりました。以来、タンパク質の新しいものづくりへの活用など、さまざまな研究に携わっています。

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迫野 昌文 先生がいらっしゃる
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 本学は東海・北陸の国立大学のなかで、学部数では名古屋大学に次ぐ2番目、学生定員数(学部)では名古屋大学、静岡大学に続く3番目の規模となる9学部20学科を擁する総合大学です。
 また本学には国内47都道府県すべてからの入学者がいるなど、全国から学生が集まっています。
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