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講義No.10105

生物のメカニズムに学び、環境負荷の少ない材料合成に生かす!

有機の生物が作る無機鉱物

 アコヤ貝が真珠を、エビやカニが硬い殻を作るなど、生物が無機鉱物を作り出すことを「バイオミネラリゼーション」と呼びます。人間が人工的に作ることのできない緻密な構造を、これらの生き物は日々生きる過程で作り出しているのです。
 例えば、貝類は軟体の身を守るために外側に固い貝殻を作ります。貝殻はすべて炭酸カルシウムと貝の分泌した有機物が混ざった物質でできていますが、部位ごとに違った組織構造を作り上げています。多くの貝殻の本体部分は硬さを得るために結晶が交互に並ぶ交差板構造であり、また、二枚貝の接続部分はしなやかに開閉する機能が必要なために非常に細いナノファイバー構造でできています。

ウニのとげにも秘密あり

 ウニは体の表面にたくさんのとげを持った生物です。このとげは炭酸カルシウムに30%ほどのマグネシウムが混ざった物質です。通常、格子状の結晶で存在する炭酸カルシウムにマグネシウムを混ぜることはできません。もし人工的にマグネシウムを混ぜるとしたら、高温高圧の過酷な状況で無理やり入れることになります。しかし、ウニは常温常圧の自然界に存在しながら、マグネシウムの入った炭酸カルシウムを作ることができるのです。こうしたウニのとげの生成のメカニズムはわかっていません。つまり、ウニは人間がまねできない能力を持っているわけです。

自然と共生する21世紀

 まだ解明されていないバイオミネラリゼーションの仕組みを明らかにすることで、新たな材料合成のプロセスにつながると考えられています。それらの解明には有機物と無機物にまたがる研究が必要です。20世紀はどちらかというと人間主体で人工的に工業を推し進めてきましたが、21世紀は自然に逆らわずに共生を考え、自然から学ぶことで人間社会が恩恵を受ける時代になるでしょう。バイオミネラリゼーションを手本とすることで、資源やエネルギーを無駄にしない循環型の持続可能な社会を生み出すことができるはずです。


この学問が向いているかも 農学、生命科学、分析化学、生物無機化学

東京大学
農学部 生命化学工学専修(農芸化学) 准教授
鈴木 道生 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 受験勉強を頑張ることは人生の中でとても意味のある経験です。しかし、1点2点を競い、志望校に合格することだけが勉強の目標ではありません。もし志望校に入れなかったとしても、努力したことが無駄になるわけではないのです。そこまでのプロセスが大事であり、頑張って成長したことが次の結果につながります。
 人生にはたくさんの関門があり、そのときどきで自分ができるベストを尽くすことが大切です。力を出し切れたのなら、結果を気にする必要はありません。頑張った結果、身についた力を、与えられた環境で発揮しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃から海の生き物が大好きで、水族館で研究者として働くことが夢でした。高校生の時、水族館は飼育が主な活動であって、研究者になるには大学に行かなければいけないと気が付きました。最先端のライフサイエンスの研究をするために、大学では天然物系の生物有機化学を専攻し、鉱物化学についても勉強しながら真珠の研究を進めました。生物が作る鉱物結晶の研究はまだあまり手が付けられていない分野です。それらの分子メカニズムを解明し、仕組みを利用して開発された材料が、世の中で使われるようになることを目指しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品メーカー研究開発/分析機器メーカー研究開発/化学メーカー研究開発/鉄鋼メーカー研究員/国立環境研究所研究員/産業技術総合研究所研究員

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 東京大学は、学界の代表的権威を集めた教授陣、多彩をきわめる学部・学科等組織、充実した諸施設、世界的業績などを誇っています。10学部、15の大学院研究科等、11の附置研究所、10の全学センター等で構成されています。「自ら原理に立ち戻って考える力」、「忍耐強く考え続ける力」、「自ら新しい発想を生み出す力」の3つの基礎力を鍛え、「知のプロフェッショナル」が育つ場でありたいと決意しています。

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