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講義No.10096

液体のまま光り、刺激によって色を変える新たな有機機能性材料

室温で液体のまま光る材料

 化学の世界では、20世紀は金属の社会、21世紀は炭素の社会であるといわれています。金属からできているものは無機材料と呼ばれ、炭素原子を基盤とするものは有機材料と呼ばれますが、有機物がもつ特徴を生かし、さまざまな機能をもたせた材料を有機機能性材料といいます。
 ナイロンをはじめ、洋服類やプラスチック類もすべて有機機能性材料でつくられています。身近で、また不可欠な有機機能性材料の形状は、固体だけではなく、液体のものもあり、最新の研究では、室温で液体のまま光る物質の研究が行われています。

刺激を与えることで発光色が変化

 分子の骨格を考えたとき、従来では光る分子は固体になるというのが一般的でした。しかし近年研究が進み、分子設計や分子デザインを工夫することで、液体の状態でも光らせることができるようになりました。さらに、N-Heteroaceneという化合物を分子骨格内に導入した刺激応答型発光性液体材料も開発されました。これは、N-Heteroaceneに含まれるN(窒素)が、塩化水素やアンモニアなどのガスによる刺激を認識し、刺激を受ける前後で発光色が変化するというもので、化学系の国際学術論文誌でも大きく取り上げられる画期的な発見となりました。

多くの可能性を秘める刺激応答型発光性液体材料

 刺激応答型発光性液体材料は、「発光性インク」としてさまざまな基盤に文字や絵を書くことができる点が特徴です。一般的なインクは紙などに定着して色がつくものですが、刺激応答型発光性液体材料はそれ自体が発光することが特徴です。まだまだ研究段階ですが、例えば偽造品の流通防止に役立てられる可能性があります。ブランド品などのパッケージにこの液体で印字をし、酸による刺激を与えた後の発光色を調べることで、その製品の真偽を確認することができます。ほかにも、さまざまな分野における実用化が期待されており、化学系メーカーをはじめ、産業界からも高い関心を集めています。


この学問が向いているかも 有機化学、光化学、物理化学

香川大学
創造工学部 創造工学科 先端マテリアル科学コース 講師
磯田 恭佑 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 学生時代は、思いきり学んでほしいと思いますが、時には息抜きも必要です。遊ぶときも、思い切り遊んで、メリハリをつけながら頑張ってほしいと思います。また、これは大学の教え子たちにも伝えていることですが、自分から動き、考えるという能動的な姿勢を身につけてほしいです。
 世の中はどんどん変化しており、新しいものも次々に生まれていきます。誰かに指示されたことをするのではなく、自ら考え、もがき、新たな道を切り開いていけるエネルギーを持ちましょう。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から理系の科目が好きで、特に化学が得意でした。大学では理工学部の工業化学科に進み、本格的に研究の面白さに触れ、大学院へ進学しました。そこで非常に研究熱心で尊敬できる恩師に出会い、研究者の道を意識するようになりました。その恩師から、自分の研究室をもつことで企業と対等な立場で連携したり、ライバルとしてアイデアを競ったりすることもできると教わったことが、研究者の道に進む大きなきっかけです。ゼロから1を作りだし、場合によっては自分のオリジナルなものを世に残せる化学に魅力を感じています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

化学系メーカー研究職/材料系メーカー研究職/銀行

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磯田 恭佑 先生がいらっしゃる
香川大学に関心を持ったら

 香川大学は、「知」が価値を持つ時代、21世紀にふさわしい大学になろうとしています。また、個性と競争力を高めるために「地域に根ざした学生中心の大学」をめざしています。瀬戸内の温暖な気候と豊かな自然にはぐくまれた香川大学は、6学部7学科1課程、7研究科(専門職大学院を含む)を擁し、専門分野のバランスがよい総合大学に発展しており、それらの機能を活かし、創造性豊かな人材を養成します。また、「出口から見た教育の重視」をかかげ、教育の質を向上させ、国際的にも活躍できる人材の養成に努めます。

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