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講義No.10089

船が自動発信する情報で、津波の大きさを予測する

日本の津波予測システム

 2011年の東日本大震災では沿岸に大津波が押し寄せ、多くの人命が失われました。地震を正確に予測することは不可能ですが、地震が起きてからの津波の予測は原理的に可能です。日本の太平洋の沖合では、地震計と水圧計が一体となった観測装置を海底ケーブルで接続し、リアルタイムに観測データを取得することで地震直後の津波の予測に役立てています。しかし多額の費用がともなうために、日本以外の国でこのような津波予測システムの設置は進んでいないのが現状です。

不特定多数の船舶の情報を活用

 海には多くの船舶が絶えず航行しています。国際海事機関(IMO)の条約により、一定の基準を満たす船舶は、緯度・経度を始め、速度、進路、船名、目的地などの情報を公に発信することになっています。それらの情報は一般的なスマートフォン用アプリでも簡単に見ることができます。船舶の進む方向と船首の方向は、通常は一致します。しかし、海水や風の影響を受けると、進む方向と船首方向にズレが生じます。大津波では船は大きく流されてしまい、実際の津波時のデータを解析すると、船首方向と直行する方向の速度は、津波の流速とほぼ一致することがわかりました。つまり、この手法を使えば、新たな観測装置を設置しなくても、航行している不特定多数の船舶から発信される情報によって、津波の計測と予測が可能になると期待されます。

あらゆる地域に津波防災を

 津波は地震だけで起こるものではありません。2018年12月にはインドネシアの火山島の一部が崩落し、それによって発生した津波によって、ジャワ島では数百人が亡くなりました。このような大地震を伴わない津波に警報を出すことは簡単ではありません。船舶自動識別装置のデータ解析による津波の計測と予測は、大きな設備投資ができない地域での津波防災の一助になるでしょう。


この学問が向いているかも 地球物理学

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 准教授
稲津 大祐 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 「○○をやったほうがよさそう」という打算的な勉強ではなく、「やりたいからやる」と思える勉強があなたの力を伸ばします。寝る間を惜しんででもやりたいと思えることを何とか見つけてください。その周辺で知識を大きく広げていけば、やりたいことがより具体化して、新しいアイディアも出てきます。知っていることが少ないと、やりたいことも見つかりません。面白いと思えることにひたすら突き進めば、その点については先生も追い抜けます。それがプロへの第一歩です。

先生の学問へのきっかけ

 浜松に生まれ、浜名湖が身近な存在でした。子どもの頃に行った潮干狩りで潮の干満を体感したのが、海に興味を持ち始めたきっかけです。高校では物理が得意だったため、海について物理ベースで勉強できる分野として地球物理学を選びました。2011年の東日本大震災のときには東北にいたこともあり、以来、津波の研究に取り組んでいます。この研究の先には、防災減災のための出口があります。日本以外にも津波の被害が懸念される国は多く、少ない設備投資でできる予測システムの構築が期待されています。

研究室
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稲津 大祐 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

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