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講義No.10085

ネズミや野菜も擬人化されて登場! 絵巻から見えてくる日本の姿とは

絵巻からわかる日本の食生活や習慣

 絵巻は美しいだけでなく、当時の食生活や文化、習慣など、さまざまな日本の姿が描かれています。例えば室町や江戸時代の絵巻からは、干しアユやちまき、コイ、カモ、ヒラタケといった多様な食材があったことがわかります。タヌキやガン、キジ、ツルなどは超豪華な食材で、天皇や将軍のための料理であることもわかります。
 また、調理しているのは男性です。宣教師のルイス・フロイスは、戦国時代に日本に滞在し、『ヨーロッパ文化と日本文化』を執筆しています。その中で、「地位が高い人は、厨房(ちゅうぼう)に行くことを誇りに思っている」と記すほど、ヨーロッパの人にとっては驚きの文化だったようです。

物事をパロディー化して楽しく伝える

 絵巻には、ネズミの調理人や、ボタンなど花の貴婦人、カブなどの野菜や樹木が人のように描かれたものもたくさんあります。史料などで調べると、五穀豊穣や宗教観を描いていて、当時の人々の願いや思いを読み解くことができます。そうした絵は、もとは中国やアジアで描かれていたもので、人物が真面目に描写されていました。ところが、日本に伝わって描かれると、パロディー化、キャラクター化されて、おもしろく、かわいらしく描かれるのです。
 お寺に行くことが娯楽になっていたことや、仏教の教えを庶民にわかりやすく伝えようという意図もはたらいています。また、長く続いた江戸時代には、冗談めかすことで幕府からの規制がかからないよう工夫したとも考えられます。

まったく新しい日本が見えてくる

 絵巻から日本を読み解く研究はまだ少ないのですが、だからこそ、まったく新しい日本が見えてきます。関連史料と合わせて検証することで、当時の日本の社会情勢のほか、近隣諸国との関わり、ヨーロッパからの影響といった文化の流れも見えてきます。
 日本の美術品や文化は、海外で非常に関心の高い分野です。日本を深く理解する学びは、現在のグローバル社会においても大いに役立つことでしょう。


この学問が向いているかも 日本文化史学、日本美術史学

椙山女学園大学
国際コミュニケーション学部 表現文化学科 教授
伊藤 信博 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 今はネットで検索すればすぐ何らかの答えが出る時代です。だからこそ私は、自分で考え、ノートに記録しながら結論を模索するような、じっくり取り組む時間が大切だと思います。私の研究室では本物の絵巻や史料に触れる機会もあります。そんな貴重な時間を過ごせるのは、大学時代くらいです。
 人文学系は、心豊かにものを考える力を育てます。本学では英語と第二外国語、多文化共生感覚も習得できますから、同時に豊かな国際コミュニケーション力も身につけられるでしょう。

先生の学問へのきっかけ

 歴史や文学が好きで、国文学を専攻しました。誰もやっていないことはないかなと模索していた頃に、江戸中期の絵師「伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)」の絵と出会いました。大根を釈迦に見立て、京野菜や果物で動物や鳥などをあらわした果蔬涅槃図(かそねはんず)に魅了されたのです。ヨーロッパで高く評価されたこの絵が今の研究のきっかけになっています。現在は、生産性の高い室町時代のコメを使い、未来の食料不足に備えるための研究を他大学と共同で行っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

高校教員/図書司書/学芸員

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伊藤 信博 先生がいらっしゃる
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 時代をこえて
 自立した女性を育む
 女子総合大学として。
 
 椙山女学園大学の起源は、明治時代に創設された女学校にあります。日本が真に伸展するためには、女子教育を向上させ、女性がもつ力を社会の中で生かすことが不可欠と信じ、時代に即した先進的な学びに取り組んできました。そのスピリットは今に受け継がれています。いつの時代も揺ぎない一人の人間としての価値観を育み、凜と生きるしなやかで逞しい力を養成する女子総合大学ならではの豊かで多様な学びが、ここにあります。

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