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講義No.10079

こんなこともリハビリ? 患者さんと社会をつなぐ「作業療法」

精神面へのアプローチも

 身体的な障がいに直接的なアプローチで治療をする「理学療法」に対して、「作業療法」では精神面へのアプローチも行って治療をしていきます。けがそのものを治すことが目的というよりも、仕事に復帰できるように回復させることを目標としているのです。作業療法における仕事とはお金を稼ぐことだけを指すのではなく、料理や入浴、趣味など日常における作業も含みます。理学療法のリハビリは、歩行訓練など体を動かして努力するイメージがあるかもしれません。しかし作業療法では、編み物や料理などもリハビリ手段のひとつなのです。

化粧も華道もリハビリに

 例えば、化粧を習慣にしていた患者さんが、加齢などを理由に化粧をしなくなり、家に引きこもりがちになった事例がありました。その患者さんに化粧を提案し、習慣化させてみると、気持ちが明るくなり外出頻度が上がりました。
 また、華道をしていた人が脳卒中で腕が麻痺したという事例がありました。作業療法士は患者さんの生活における華道の重要性を感じ、一緒に華道に取り組むことにしました。作業療法士のつたない手つきを見て、その患者さんは「違う、そうじゃない」と、正しい手順を教えます。これを続けるうちに、患者さんは以前とほとんど同じように華道ができるようになりました。

作業に必要な「4つの要素」

 人間が作業を行うときは、やりたいと思う「動機づけ」、日常の中でくり返す「習慣化」、作業をするために必要な「遂行能力」、作業をする「環境」の4つの要素が必要になります。これはアメリカの作業療法士のギャリー・キールホフナーが提唱した考え方で、「人間作業モデル」と呼ばれています。作業療法では各要素を理解することで、一連の治療の効果をより高めることができます。
 動機づけに適した作業や役割を見出し、習慣化させることで能力を回復させ、再び社会とのつながりをつくっていく人間作業モデルは、作業療法のさまざまな場面で役立っているのです。


この学問が向いているかも 作業療法学

東京都立大学(旧・首都大学東京)
健康福祉学部 作業療法学科 教授
石井 良和 先生

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メッセージ

 どんなことでもいいので、一生懸命取り組んでほしいと思います。私自身は進路を決めるまで回り道をしてしまいましたが、一生懸命取り組んで得た経験は、どこかで役に立つと感じています。失敗してもかまいません。自分の経験を豊かにして、ひとつでもいいので誇れるものを見つけてみましょう。いつか目標が見えたとき、その経験が力になってくれるはずです。
 また、自分をわかってくれる人がひとりでもいれば、将来なにがあってもがんばることができると思います。あなたの支えになってくれる人を大切にしましょう。

先生の学問へのきっかけ

 高校卒業後は法学部に進学しましたが、やりたいことが見つからず、しばらくバイトなどに明け暮れました。そんな生活の中、次第に「人を相手にする仕事がしたい」と思うようになり、障がいのあった知人の妹の影響もあって作業療法を学びました。
 私たちは日常の中でなんらかの作業に取り組んでいます。もし自分や環境が変化して作業ができなくなったとしても、工夫をすれば状況を改善できるかもしれません。どんな人でもあきらめなければ道が開けることに魅力を感じ、作業療法の研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

病院・施設の作業療法士/大学教員

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石井 良和 先生がいらっしゃる
東京都立大学(旧・首都大学東京)に関心を持ったら

 東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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