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講義No.09520

ありのままの自分を愛して、心の健全を保つ

「自己愛」は健全な心の発達に必要なもの

 「自己愛」とは自分自身を愛することや、自分を大切に思う気持ちです。人間は誰しも心の中に「私(自己)」という概念を持っています。もし世界に自分一人しかいなければ、「私」と他者の区別は生じません。自己とは他者と自分との関係性があるから体験されるもので、「私」という体験は他者によって支えられているのです。自己愛というと「ナルシスト」や「自己中心的」といったよくないイメージが浮かぶかもしれませんが、「私」を豊かに体験するためには自己愛の充足が大切で、自己愛を満たすためには、自分以外の誰かという「対象」が必要です。

3つのパターンで満たされる自己愛

 自己愛の満たし方には大きく3パターンあるとされます。ひとつは、自分への他人の評価や応援を使って、自分自身の価値を確認する方法です。先生に「最近よく頑張っているね」とほめられたり、体育祭や文化祭で喝采(かっさい)を浴びたりした時のうれしさは誰にも経験があるでしょう。また、自分の理想の相手に対して、あこがれや一体感を感じている時にも自己愛が満たされます。大好きなスポーツ選手が活躍すると、自分のことではないのに力強く勇気づけられるケースなどです。そして他人の中に自分と似た部分を感じた時にも自己愛が満たされます。音楽の趣味が同じとか、性格に似た部分がある友人に一体感を感じることがこれにあたります。

思春期は成熟した自己愛への訓練期

 このような体験を精神分析では「自己対象」と言います。他人と良好な関係が築けず自己愛が満たされないと、「私」を支える足場が崩れ、精神的に不安定になります。また、思春期にさまざまな体験を通じて自己愛を成熟させられることがないと、大人になっても相手に過度な要求をしたり、自分が偉いと思い込み他者を見下すような態度をとったりすることがあります。このような場合、臨床心理学などの分野では精神分析的自己心理学の考え方に基づいた心理療法で「ありのままの自分を愛すること」ができるように支援します。


この学問が向いているかも 臨床心理学、精神分析学

甲南大学
文学部  教授
富樫 公一 先生

先生の著書
メッセージ

 高校時代は悩み多き年頃です。自分が他人より劣っているように思えたり、自分に過剰な自信を持ったりする時期です。青年期は心を広げ調整していく時期ですから、迷い悩むことが当たり前です。他人と関われば傷つく経験もしますが、人間は他人との関わりなしに健全な心の状態を保てません。生きづらさを感じた時は一人で抱え込まず、誰かに相談することが大切です。臨床心理学はそんな時、生きづらさを和らげるための知恵を授けてくれたり、自分と同じように心を持ちながら自分とは全く異なる心を持つ他人を支えたりするための学問です。

先生の学問へのきっかけ

 私が心理学に興味を持ったのは思春期・青年期のころです。多くの中高生がその時期に思い悩むように、私自身も「自分のことがよくわからない」と感じ、もやもやした生きづらさを感じていました。その経験が一つのきっかけとなって大学、大学院で臨床心理学や発達心理学を学び、その後、アメリカに渡って精神分析などを学びました。それから数十年 にわたる臨床活動や研究活動を経て、中高生の頃に自分について悩んでいた答えがハッキリとわかるようになりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

総合病院・精神科病院・小児科など臨床心理士・公認心理師/児童相談所児童心理師/家庭裁判所調査官/各種企業産業カウンセラー/児童養護施設臨床心理士・公認心理師など

大学アイコン
富樫 公一 先生がいらっしゃる
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 国際都市・神戸に位置する本学では、建学の理念「人物教育の率先」を教育の原点とし、ミディアムサイズの総合大学だから実現できる、学部を越えた融合型教育で優れた人材育成を実践しています。現在、岡本(神戸市東灘区)・西宮(西宮市)・ポートアイランド(神戸市中央区)に3つのキャンパスがあり、8学部14学科の多彩な学びを展開。また、全学部の学生がグローバル教育を受けられる融合型グローバル教育や共通教育科目の充実により、異なる学部の学生同士が自然につどい、刺激し合い、融合する学びのフィールドが実感できます。

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