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講義No.09466

借金未払いが許された? 経済危機を生き抜いたロシアの戦略とは

企業の未払いを許容していた1990年代

 ソ連崩壊後の1990年代のロシアでは、企業の取引先や銀行などへの未払い問題が発生しました。企業は取引をするとき、通常はすぐにお金を払わず後日、精算します。しかしロシアでは、精算期日になってもお金が払えないという状況が続いたのです。もし日本でこのような事態が起これば、未払い金を抱えた企業は破産させられます。しかし、ロシアでは多くの企業が負債を抱えていたので、未払いを事実上、容認していました。そうしなければ社会が機能しなくなってしまうからです。表面上は社会主義から資本主義に移行したように見えても、人々のメンタリティ(精神性)や習慣はすぐには変化していなかったのです。未払い問題が起きたとき、人々はあえて昔の社会主義的なメンタリティを維持して、ソ連崩壊と資本主義の流入のような大きな外的ショックから社会を守ったと言えます。

ロシア支援に隠されたアメリカの思惑

 ロシア経済の混乱は、国内以外にも原因があると考えられています。冷戦後、アメリカはロシアを支援するという名目のもと、資本主義や民主主義を積極的に押し付けてきました。アメリカ側の視点でロシアを研究すると、「ロシアがソ連時代のように敵対しないよう、経済を利用して国力を弱体化させよう」というアメリカの思惑が見えてきます。

たばこ産業と経済の関係

 アメリカには、大資本と呼ばれるたばこ産業があります。一方、ロシア(ソ連)では国がたばこ産業を運営することで大きな税収を得ていました。ソ連崩壊後の混乱に乗じて、アメリカはロシアのたばこ産業をはじめとする大事業を民営化させ、ロシアの経済や政治に影響を及ぼそうとしました。
 しかし、2000年にプーチンが大統領に就任すると、アメリカの経済政策をまねることで国力の差を縮め、ソ連時代の国力を取り戻そうとする流れが生まれました。今後、プーチン大統領がどのような動き方をして国の針路を決めていくかということは、ロシア経済を研究するうえで重要な視点となっています。

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この学問が向いているかも 国際経済学

帝京大学
経済学部 国際経済学科 教授
杉浦 史和 先生

メッセージ

 高校までの学習では、1つの問いに対して1つの答えがあり、正解を記憶していくことが求められました。しかし国際関係や経済の世界では、正解は1つではありません。1つの事象に対しての答えがいくつもあり、正解が何かわからないのです。
 有識者の意見も多様です。発言をしている人のバックグラウンドや立場によって発言内容が変わるので、情報を客観的に見るための根拠となる資料にあたってみることが大切です。情報を識別するための複眼的な視点やアプローチを大学で学んでいきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃からラジオの国際放送を聞くことが好きで、特にモスクワ放送による日本向け番組を聞いていました。知識を得るなかで、「ソ連に対する日本の理解は偏っているのではないか」いう疑問を抱き、大学では社会主義経済を知りたいと経済学を学びました。1980年代後半からソ連の情勢が大きく変わり、衝撃を受けると同時にさらに好奇心を抱きました。社会主義の体制が崩れて資本主義が入っていったロシアの状況を見ることで資本主義そのものの特徴も明らかになると考え、ソ連からロシアへの変遷を中心にロシア経済を研究しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

自動車販売員/不動産会社など

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杉浦 史和 先生がいらっしゃる
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 医療系・文系・理系と幅広い分野の10学部32学科を擁する総合大学です。文系学部を中心とした八王子キャンパスでは、約15,000人の学生が学んでいます。東京多摩丘陵の自然豊かな景観に位置し、キャンパスリニューアルにより新校舎棟「SORATIO SQUARE(ソラティオスクエア)」が2015年9月完成。
 2017年11月には2期エリアが完成し、「帝京大学総合博物館」をはじめとした、施設・設備が整備され、教育指針である「実学」「国際性」「開放性」を柱に、自ら未来を切り拓く人材を育成しています。

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