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講義No.09457

思い出を仲立ちする写真というメディア

気軽に撮れるようになった写真

 誕生日や観光名所では写真を撮りたくなります。携帯電話にカメラ機能が付き、カメラを持ち歩かなくても気軽に写真を撮ることができるようになってから約20年経ちました。人々はフィルムカメラの時代に比べると膨大な数の写真を撮るようになり、それらはみな小さなデバイスやクラウド(ネット上の保管庫)に収まっています。

思い出を綴(と)じた大切なアルバム

 かつて写真はアルバムで楽しむものでした。子どもの成長記録のアルバムは、親族や友だちなどと思い出を分かち合うメディアでした。しかし今はすべてがデジタル化されてかたちのないデータになり、アルバムはすたれつつあります。
 東日本大震災で被災した人々が探したいと願ったものはアルバム写真でした。見つかったアルバム写真は塩水でボロボロとなっていたため、それらをきれいに洗い、スキャンして持ち主の手元に戻す活動をした団体が各地にありました。家族を亡くし、暮らした家が流されてしまったときに、写真は思い出を仲立ちするメディアだったのです。思い出が編みあがって人間というものができていると考えると、写真を探したいと思った被災した人々の心情は、よく理解できます。
 そして、アルバムがただすたれてしまってよいわけではない理由がここにあります。

ひとつのメディアを多面的に研究する

 現代の写真の大半は人々のスマートフォンやクラウドのなかに保管されており、それらはいつでもどこでもSNSで友だちと共有できます。しかしスマートフォンやクラウド上の何百・何千枚という写真は、誰とも共有されずに所有者だけに見られる、極端に私的な存在です。SNSで写真は、基本的に自分というブランドのイメージを向上させるために使われて、かつてのアルバム写真のような思い出を仲立ちするメディアとはかなり違ってきています。
 このように、ひとつのメディアに着目し、それをさまざまな角度から学際的にとらえていくことも「メディア論」の特徴です。新しいメディアも古いメディアも、どちらも大切なのです。

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この学問が向いているかも メディア論

東京大学
大学院情報学環  教授
水越 伸 先生

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メッセージ

 高校時代には、将来の進路と関係のないことに打ち込んでいいと思います。スポーツでもゲームでもファッションでも、自分が好きなことをやればいいのです。ただ、それを楽しむだけでなく掘り下げてみてください。ゲームなら仕組みやストーリー、世界観を調べてみたり、スポーツなら体のメカニズムやコンディションについて調べたりするなど、1つのことを通じてそれを取り巻く事柄に広く興味を持ち、掘り下げていくという経験は、大学での学びにもつながります。自分が日頃、リアルに面白いと思うことを楽しく究めていってください。

先生の学問へのきっかけ

 大学では、はじめ文化人類学を、後に現代思想を専攻しました。そのかたわら大学3年生で先輩らとデザイン事務所を立ち上げました。そこでは、ユーザーがモノをいかにとらえ、日常生活のなかで活用するかを詳細に観察する方法を身につけました。やがて商業主義的なことではなく学問的なことがしたくて大学院に進んだとき、この経験が図らずも役立ちました。暮らしのなかの人々とメディアの関係を明らかにする方法はデザインのそれと共通していたからです。デザインの発想とメディアや文化の発想を織り交ぜた研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学/ICT企業/放送局/出版社/新聞社/広告代理店/中央官庁/コンサルティング会社

研究室
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 東京大学は、学界の代表的権威を集めた教授陣、多彩をきわめる学部・学科等組織、充実した諸施設、世界的業績などを誇っています。10学部、15の大学院研究科等、11の附置研究所、21の全学センター等で構成されています。知識の洪水に流されない「本質を捉える知」、独善に陥らない「他者を感じる力」、そして、「先頭に立つ勇気」を備えた、21世紀が求める人材が育つ場でありたいと決意しています。

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