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講義No.09454

小学校2年生の文学教材『スイミー』を教師の視点で読み解く

小学校2年生国語教科書掲載の『スイミー』

 あなたは小学校2年生の国語の教科書に載っていた『スイミー』という話を覚えていますか。赤い魚のきょうだいの中で一匹だけ黒いのが主人公のスイミーです。スイミーのきょうだいは大きなまぐろに食べられてしまいますが、スイミーはほかの赤い魚の群れとともに一匹の大きな魚のふりをして、まぐろを追い出します。印象に残っているのは「スイミーは一匹だけ真っ黒だった」という部分だけのことが多いのですが、大人になって読み直すと違う側面が見えてきます。

物語の意味を深く考えてみる

 最初と最後の場面を比較すると、最初は「たのしくくらしていた」とありますし、最後も食べられそうになった大きな魚を追い出して平和な世界になります。しかし、2つの場面の「平和」は決定的に違います。最初の場面は、泳ぐのが速いスイミーしか生き残れない「見せかけの平和」でしかなく、大きな魚の出現により、もろくも崩れ去ってしまいます。しかし最後の場面では再び危機が訪れても対処する方法がわかっているのですから「本当の平和」が訪れたと言えます。
 また、物語の中盤で、きょうだいが大きな魚に食べられてしまい、孤独に海の中をさまよっていたスイミーはふと海の中の美しさに気がつきます。今まで当たり前のように広がっていた世界の素晴らしさに気づいたのは、大きな心の喪失があったからでしょう。スイミーは辛い経験をし、それを乗り越えることで、仲間とともに真の平和をつかむことができたのです。

教師の視点から作品を読み込む

 こうやって大人の視点から読み直すと、子どもの頃に読んだときと印象が変わります。とても深い内容の、価値のある話だったという再発見があります。大人になった眼で読むことで、私たちの生き方に関わる文学作品として読むことができるのです。
 受験では文章を正確に「読み取る」力が求められるのですが、大学での学びではさらに文学作品を「掘り下げて意味付けをする」ことが必要です。教師は、その上で子どもたちに授業をすることが大切なのです。

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この学問が向いているかも 教育学、児童文学

大東文化大学
文学部 教育学科 准教授
山中 吾郎 先生

メッセージ

 小学校の先生になるためには、授業の仕方や勉強の教え方の技術を学んで身につけることも大事ですが、それ以上に人として豊かに生き、人間的な魅力を備えていることが重要だと思います。
 あなたが小学校の先生をめざしているなら、大学受験のための勉強以外にも、部活に一生懸命取り組んだり、たくさんの本を読んだり、自分の興味が持てることに熱中したり、いろいろな場所へ出かけて多くの人と出会ったり、そういうことを経験して人間の幅を広げていってください。

先生の学問へのきっかけ

 私は子どもの頃、学校の図書館で椋鳩十の本を端から端まで読むような少年でした。教師になるのが夢だったので、大学の教育学部を経て、小学校の教師として、文学作品の世界を子どもとともに語り合う授業を30年間行っていました。そうした授業を後進に広めるため、今は教員を育てる側に回っています。子ども向けの作品の中には実は深い意味が込められているので、授業をするには大人の目線で理解することが大切です。教員になった卒業生とは定期的に教材研究の会を開き、一緒に良い授業を作る取り組みもしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

小学校教員

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 6月8日(土)に東京ビッグサイトで開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019東京会場」で、山中吾郎先生が【『おおきなかぶ』はなぜあまくて大きいのか】というタイトルの講義ライブを16:00から実施! 全部で318名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む204大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
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