夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

講義No.09450

人が「選抜」されるということ

入試は大学に選抜されるということ

 大学に入学するには、入学試験に合格しなければなりません。大学入試はたくさんの入学志望者の中から、大学に適した人を選抜するためのシステムです。
 この「選抜」は、大学入試だけでなく、人間が集まる場所では人生のあらゆる局面において起こります。例えば江戸時代には、将軍に選抜され、取り立てられて権力を手にした人もいるでしょう。これは時代を問わずあり得るものです。

選抜がなければ限られたチャンスしかない

 ただ、江戸時代以前の前近代社会では身分制度があったため、みんなが選抜を意識していたわけではありません。恵まれた地位にいる人たちは、自分たちの子どもを同じ地位につかせるだけでよかったのです。血縁でつながるシステムなので、武士の子は武士になり、商人の子は商人を継いで社会が回っていました。
 しかし、そういう社会では、才能のある人が活躍し、世の中がよくなるチャンスが閉ざされてしまいます。それでは社会的に効率が悪いうえに平等でもないので、人が能力により自由に動ける社会をつくるべき、という理念が発達します。それが近代社会の「平等の理念」や「能力主義の理念」です。江戸時代以前の人々とそれ以降の人々が活躍できる範囲は大きく異なるのです。

「教育=選抜」の近代社会

 その後、科学技術が重要な社会になり、科学技術の知識を持っていたり、その知識へのアクセスが容易だったりする人たちが重要視されました。明治時代には最先端の欧米の技術を導入するために、旧制高校では外国人が英語の授業をしてエリートの促成栽培をしました。こうして、教育によって科学技術を獲得した人たちが重要なポジションにつき、社会を回していくリーダーになるという社会が出来上がったのです。
 教育を通じて身につけたものを持つ人が選抜されるような形で社会が構成されています。それが「近代社会の選抜」という仕組みです。教育を受けることが選抜の機能を果たしていたのです。教育と選抜が重なる仕組みとなって、現代につながってきています。

アイコン

講義を視聴する(1分)

アイコン

講義を視聴する(1分 その2)

アイコン

講義を視聴する(1分 その3)

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 教育社会学

東京大学
教育学部 比較教育社会学コース 教授
中村 高康 先生

先生の他の講義を見る 先生の著書
メッセージ

 あなたは今、たくさんのことを勉強していると思いますが、高校では勉強できないようなものを大学で学ぶことができます。ですから、早いうちから専門分野が決まっていなくてもいいし、むしろ好きなことをあまり狭く絞り込まないほうがよいとさえ思います。大学に入ってからも選ぶチャンスはありますし、一つの学部や学科の中にも幅広い学習内容があり、選択肢がたくさんあるからです。
 今は、いろいろな新しい情報に触れたときにそれをキャッチできるような柔軟な心を持って、普段から勉強したり生活したりすることを大切にしてください。

先生の学問へのきっかけ

 もともと教育に関心があり、大学では教育学を専攻しました。大学に入学してから周りの友だちに刺激を受けて本を読みあさりましたが、その中にデュルケムという社会学者の著書『自殺論』がありました。データを使って社会の統合の具合と自殺には関連があるという説を出したものです。今まで当たり前に見ていた教育に関するいろいろな現象も、社会という少し遠めの観点から見たらまた違って見えるのではないかと思いました。このことから社会学に興味を持ち、教育社会学という分野を勉強するようになったのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国家公務員/地方公務員/教員/シンクタンク研究員/大学研究者/調査会社調査実務/国際機関職員/保険会社社員/メーカー社員など

研究室
大学アイコン
中村 高康 先生がいらっしゃる
東京大学に関心を持ったら

 東京大学は、学界の代表的権威を集めた教授陣、多彩をきわめる学部・学科等組織、充実した諸施設、世界的業績などを誇っています。10学部、15の大学院研究科等、11の附置研究所、21の全学センター等で構成されています。知識の洪水に流されない「本質を捉える知」、独善に陥らない「他者を感じる力」、そして、「先頭に立つ勇気」を備えた、21世紀が求める人材が育つ場でありたいと決意しています。

TOPへもどる