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講義No.09446

AIが個人の尊重を脅かす!?

AIは人間より「正しい」?

 憲法13条に「国民は個人として尊重される」とあります。近代社会は、自分で考えて行動し、その結果に責任を持つ自律した個人から成り立つ社会です。自律した人間同士だからこそ、お互いを尊重し合えます。しかし、AI(人工知能)の普及がこのような社会のあり方を大きく揺さぶるかもしれません。
 AIは膨大なデータを解析し、統計的に最適解を抽出します。ただ、AIがどのようにデータを学習し、なぜこの推論を導き出したのか、人間にはわからないことがあります。AIが人間の知能を超えているとするならば、AIがすべて「正しい」ことになり、人間の判断能力の価値は失墜します。「自律的判断能力がある者同士がお互いを尊重し合う」という、個人からなる社会に大きな疑問が投げかけられることになります。

AIに行動が読まれる

 また、人間が自律的な判断をするといっても、今まで得た情報や意見、経験を基に考えています。それに対してAIは考え方のパターンを読むので、あなたがこの情報を見たらこう判断する、と予測できます。インターネット上の広告の多くも、あなたのブラウザ上での行動を分析して表示されているのです。
 そうした操作された情報に囲まれると、自律的に意思決定したつもりでも、実はAIに左右されているといった事態が起きます。「個人の尊重」や「自律した個人」という人間像にAIは大きな挑戦状を突きつけているのです。

社会全体が豊かになるために

 さらに、AIにより人のスコア化やレベル分けがなされるかもしれません。すると、基になるデータや社会の偏見が拡大して反映される危険性もあります。それを当然に「正しい」ものとして人間の判断に代替させてしまえば、社会は根本的に違ったものになってしまいます。
 これらのことから、AIの研究開発や使用のためのガイドラインを作り、それを社会や研究者が共有して最適な方法を見出さなければなりません。人間の尊厳や個人の尊重を守りながらAIが発展し、社会全体が豊かになっていくことが求められます。

参考資料
1:Society 5.0

法学はインターネットをどう考えているか

夢ナビライブ2019 名古屋会場

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この学問が向いているかも 法学、憲法学、情報法学

東京大学
法学部  教授
宍戸 常寿 先生

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メッセージ

 今の高校生は、私が高校生の頃よりマルチな能力が求められているようです。学校生活や友だち付き合いをエンジョイし、家族などと仲良くし、勉強も頑張る! でも、すべてそつなくできるのが最良ではありません。好きなものも苦手なものもあり、周りの人と違うことは個性です。
 あなたは今、その個性が芽生えようとしているところです。個性を持った個人として成長していくプロセスにあるために、悩むこともあると思います。どんなところが人と違うのか、自分の個性をしっかりと受け止めて、そこから、自分の道を見つけてください。

先生の学問へのきっかけ

 父親が国会の職員だったので、子どもの頃から政治や法律には関心がありました。理系分野が苦手だったことと、自分の性格を考えると組織に属するのは無理だと思い、一人ひとり独立しているイメージのあった弁護士になろうと思いました。大学では憲法の歴史を学ぶうちに、研究の道が面白くなっていました。最近では表現の自由について勉強し、放送・情報通信の問題について政府の政策決定にも関わっています。情報通信は今や我々の社会そのものです。日々急速に変化する社会を追いかけています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

弁護士/裁判官/検察官/公務員/IT企業/マスコミ/研究者

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 東京大学は、学界の代表的権威を集めた教授陣、多彩をきわめる学部・学科等組織、充実した諸施設、世界的業績などを誇っています。10学部、15の大学院研究科等、11の附置研究所、10の全学センター等で構成されています。「自ら原理に立ち戻って考える力」、「忍耐強く考え続ける力」、「自ら新しい発想を生み出す力」の3つの基礎力を鍛え、「知のプロフェッショナル」が育つ場でありたいと決意しています。

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