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講義No.09432

受精卵の発生からひもとく生物の仕組み

「発生生物学」とは何か?

 ヒトの体は、地球の人口の約1万倍、数十兆個の細胞からできています。そのなかには、筋細胞や血球など形や働きが異なるさまざまなものがありますが、すべてたった1個の細胞である受精卵が分裂をくりかえしてできたものです。ネズミとヒトの受精卵は、顕微鏡でみても見分けがつかない小さな丸い細胞です。しかし、発生を通じてネズミの受精卵からはネズミが、ヒトの受精卵からはヒトが作られます。発生は、種ごとに異なる設計図(遺伝情報)に従い、生物の体を作り上げる過程です。このような生物の発生の仕組みを研究するのが発生生物学です。

生物の形の「おおもと」を作る遺伝子の発見

 生物学の歴史の中で、1950~1960年代は分子生物学の誕生と発展の時代です。その中でエドワード・ルイス博士は、真夜中の研究室でただ一人、変わった形のショウジョウバエを交配し、生まれてくるハエの観察を続けていました。変わった形というのは、2枚であるはずの翅(はね)が4枚ある、触覚ができる位置に脚が生えているなど、突然変異により体のある部分が別の部分の性質を持つようになったために生じたものです。ルイス博士の研究は全く注目されませんでしたが、1970年代になって発生生物学に革命をもたらす大発見につながりました。ホメオティック遺伝子群の発見です。

発生から生物全体を理解する

 ホメオティック遺伝子群はそれぞれ胚の異なる部域で働き、その部域のアイデンティティを決め、生物の形の「おおもと」を作ります。この遺伝子の種類や働き方の違いが、ヒトを含めた動物や植物などの多様な形を生み出します。ホメオティック遺伝子の祖先遺伝子が、単細部生物である酵母で見つかっています。これが数を増やし、新しい機能を獲得していった結果、多様な生物の形を生み出すことが可能になったのです。ルイス博士のユニークな研究の筋道をたどることで、生物学とその研究の面白さが理解できるでしょう。

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この学問が向いているかも 発生生物学、遺伝学

日本女子大学
理学部 物質生物科学科 教授
永田 三郎 先生

メッセージ

 あなたは、「生物は暗記するもの」という印象を持っているかもしれません。特に最近は新しい知識が増えてきていますから、覚えることが多くて大変だと思うこともあるでしょう。しかし、生物学のおもしろさは、生物にまつわる現象の不思議さの解明にあり、高校での学習はその入り口にすぎません。
 大学での研究は、生物や生命現象の多様性や、その背景について探究するものです。生物の魅力や生命の不思議さに興味があるなら、暗記で挫折せず、ぜひ大学で生物学の道を選んでください。

先生の学問へのきっかけ

 実は、はじめから生物学に興味があったわけではなく、むしろ数学や物理学に興味があったのですが、大学に入って生物学のおもしろさに目覚めます。私が大学に入学した頃は、生物学の分野では新しい発見が次々となされており、目覚ましい発展を遂げている時期でした。遺伝子の構造や働きについて理解が進むとともに、生物の構造や機能が遺伝子や分子の働きとして理解できるようになってきました。そんな生物学にだんだんと惹かれて、1個の細胞である受精卵から成体が作られていく過程を研究する発生生物学の分野へと進むことになりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品会社製品開発/種苗会社研究員/製薬会社研究員/中学校教員

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永田 三郎 先生がいらっしゃる
日本女子大学に関心を持ったら

 6月8日(土)に東京ビッグサイトで開催される大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019東京会場」で、永田三郎先生が【生物の形をきめる遺伝子の発見】というタイトルの講義ライブを11:00から実施! 全部で318名の大学教授が講義ライブを実施するほか、本学を含む204大学が個別ガイダンスを実施します。詳しくは
 https://yumenavi.tokyo(パソコン、スマホ、ケータイ共通)をご覧ください。

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