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講義No.09413

日常生活で起こるトラブルを解決する「不当利得法」

不当利得法って何?

 「だまされて壺を買わされた。お金を返してほしい」。買主が契約を取り消すと、売主が受け取った代金は「不当利得」となり、買主は売主に返還を求めることができます。買主が受け取った壺も「不当利得」になりますが、地震で壊れてしまった場合、売主は買主に何を求めることができるのでしょうか? また、最近はネット上での売買が盛んですが、買主が振込先を間違えた場合、受け取った人はその「不当利得」を返す必要がありますが、いったい誰が返せといえるのでしょうか。売主? 買主? 銀行? こういった、法的に正当な理由がなく経済損失を受けた人を救うためのルールを「不当利得法」と呼び、民法という法律の中の1分野になっています。CMでよく目にする「利息の過払い金」も、この分野の重要な問題の1つです。

「違法」な取引でのトラブルは?

 ネット上でマシンガンを売る業者がいたとします。マシンガンを所持する正当な理由がない人が購入することは犯罪になり、契約も無効となります。買主が支払った代金は売主の「不当利得」となりますが、買主は売主に対して代金の返還を求めることができません。民法は、自らの違法な行為で損失を受けた人は救済されないと定めているのです。他方、同じく違法な取引に「ねずみ講」があります。出資金以上の配当があると言って出資の勧誘をするものですが、数学的に必ず破綻(はたん)するため違法とされます。ですから、ねずみ講に入った人は返金してもらえないと解釈できますが、返還を認める裁判例もあります。マシンガンの売買の場合とどのように違うのでしょうか?

法律は状況に応じて可変的

 ネット上の相談サイトなどで「法律ではこうだ」と断言する人がいますが、妥当な解決を導くためには、トラブルに至る過程や当事者の利益状況を十分に踏まえる必要があります。また、世の中には法律が想定しない新たな事態が常に生まれており、既存の法律を、その事態に使えるように解釈しなければなりません。法律ができればそれでおしまいではないのです。

高校生活と民法

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この学問が向いているかも 法学

関西学院大学
法学部  教授
瀧 久範 先生

メッセージ

 2018年に民法が改正され、2022年4月から18歳以上が成人となります。18歳で、社会のさまざまなトラブルに成人として責任を持って対応しなければならなくなるのです。あなたも普段からニュースに触れ、社会で起きていることを幅広く知って、「危険察知力」を磨くようにしてください。また、法律が生まれた背景を知り、法律への理解を深めるために、近代以降のヨーロッパ史を学んでおくとよいでしょう。
 民法には、社会生活上の問題を決着に導くルールが定められています。難しいですが、とても面白い分野です。

先生の学問へのきっかけ

 私は大阪府の出身で、中学・高校時代はソフトボール部に所属し、全国大会に出場するなど、まさにクラブ活動にどっぷり浸かった6年間でした。
 将来は公務員になろうと法学部を受験し、大学では「この教官とは相性がよさそう」という理由から、民法のゼミを選びました。さまざまな事例で「不当利得」が問題となることから、この制度に興味を持ちます。いろいろな場面で目にするにもかかわらず、真正面からとらえる機会は少ない分野だと感じ、募る疑問を解き明かしたい、もっと知りたいと本格的に勉強するようになったのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

弁護士/司法書士/税理士/行政書士/官公庁/銀行営業・総務・人事/保険会社営業・総務・人事/商社営業・総務・人事/インフラ会社営業・総務・人事/不動産会社営業・管理

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 スクールモットーである"Mastery for Service"は、「奉仕のための練達」と訳され、隣人、社会、世界に仕えるため、自ら鍛えるという関西学院の人間として目指すべき姿を示しています。
 1889年にアメリカ人宣教師W.R.ランバスによって創立された関西学院は、このスクールモットーを体現する、創造的かつ有能な世界市民を育むことを使命とし、現在、関西学院の3つのキャンパスでは、約2万人の学生が個性あふれる11学部で学んでいます。

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