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講義No.09411

川から深海までは一つながり! ダム建設が深海に及ぼす影響とは?

ダム建設の影響はどこまで続く?

 日々、さまざまな環境変化に関する報道があります。砂浜の砂が激減しているというニュースもたびたび伝えられています。原因はいくつかありますが、川の上流でダム建設が進み、川から流れ出る土砂が減っていることが大きく影響していると考えられています。
 砂浜は目に見えるため砂の減少に気づきやすいのですが、その先にある海の中はどうでしょうか。ダムの影響で土砂が減少しているのであれば、陸地の周りの深海の底でも、泥などの堆積(たいせき)物が影響を受けていると想像できます。

海底で泥の堆積速度を調査

 実際に日本近海のいくつかの海域で、泥や砂がどのように堆積しているか、サンプル(コア試料)を採取し、泥が堆積する速度の変化について調査が行われています。最近100年間程度の泥の堆積速度は、コア試料における鉛同位体の濃度変化をもとに算出できます。調査の結果、川の上流でダムが建設された頃から、泥の堆積速度が遅くなっていることがわかりました。
 例えば新潟県の近海で採取したコア試料を調べると、20世紀中頃に泥の堆積速度が遅くなっていました。これが阿賀野(あがの)川上流にある巨大ダムの建設時期と一致したのです。巨大なダム湖の影響で泥の運搬が半分以下となり、近海での泥堆積量が減ったことが推察できます。

目に見えないことにも意識を向けよう

 海底に堆積する泥が少なくなると、海中の栄養塩が減って漁場の豊かさが失われたり、環境汚染物質を薄める効果が弱まったりということも考えられます。
 私たちは普段、目に見えていることや、自分たちの生活に直接影響があることだけに意識が向きがちです。しかし、海底の堆積物を調べることによって、川の上流に造られたダムの影響が砂浜だけではなく、深海にも及んでいることがわかってきました。「川から深海までは一つながり」ということを忘れず、日々の営みを続けていく必要があるのです。

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この学問が向いているかも 堆積学、環境科学

首都大学東京
都市環境学部 地理環境学科 准教授
白井 正明 先生

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メッセージ

 科学における基礎研究は、学問がいろいろな方向に発展するための原点になるものです。私は、「ほかの人が気づかないことを見つけること」に研究の面白さを感じてきました。研究や調査は地道な作業が多いですが、毎日コツコツと歩みを続けていれば、いつのまにか「見晴らしの良い高所まで登っていた」というような瞬間が必ず訪れます。
 そのような喜びを学生にも味わってもらいたいと考えて、日々指導を行っています。あなたも科学を志向するなら、多少回り道をしても地道に自分の道を見つけていきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 中学生の夏休みに、「プレートテクトニクス」を取り上げたNHKの特番を見たことが大きなきっかけです。海洋プレートの移動で、いつの日かハワイが日本列島にぶつかるかもしれないという話や、もともと南の海で生まれた伊豆が日本列島に衝突して半島になっていく過程などを知り、その壮大さに心躍ったことを覚えています。それをきっかけに地球科学に興味を持ち、大学では研究の楽しさを知り、大学院では研究の厳しさに直面しながらも多くを学び、今に至ります。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教員/地方自治体ジオパーク専門員/独立行政法人事務職/地方自治体事務職/情報関連企業技術職/建設会社技術職

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