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講義No.09360

大型放射光施設を利用した先端研究

大型放射光施設とは?

 放射光とは、光とほぼ同じ速度まで加速した電子を磁石によって曲げた際に発生する光(電磁波)のことです。兵庫県の播磨にあるSPring-8や茨城県の筑波にあるPFに代表される放射光を生み出すことができるところを大型放射光施設と呼んでいます。大型放射光施設では、実験室で発生させることができるX線(電磁波の一種)よりも高エネルギーで高密度のX線を利用することができるため、ナノテクノロジーやバイオテクノロジーなど幅広い分野の研究に利用されています。

金属クラスターの特異な熱物性

 省スペース化、コスト削減のため、ナノサイズ(1ミリの100万分の1の大きさ)にまで小さくするナノ化がデバイスや機能性材料の分野で進んでいます。ナノ化する際に課題となるのが「熱ゆらぎ」です。私たちが普段、何も感じない室温であっても、原子レベルでは熱による影響を受けています。最近の研究で、大型放射光施設を利用したX線吸収分光法により、金属クラスター(ある金属原子が数個から十数個集まった状態)の熱物性が原子レベルで解明され、熱物性の一つである原子間結合の硬さに階層性があることがわかりました。これまで計算化学からしか予想されてこなかった金属クラスターの熱物性を実験から実証できつつあり、今後の研究が期待できます。

「その場観察」が切り開く新材料

 これまでとらえられなかった現象や特性を理解するには、測定・解析技術の進歩も不可欠です。例えば、放射光を使った時間分解測定という方法があります。これは、ミリ秒以下の細かいスケールで、触媒や材料の特性が発現している間の状態や構造の変化を観察し、機能が発現する仕組みを明らかにしようというものです。熱物性や触媒反応を調べるにはX線吸収分光法などを使いますが、加えて、「時分割オペランド分光」という分析法により、機能のより精密な解析も行われています。このような分析により、新しい材料を作るアイデアが得られるはずです。

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この学問が向いているかも 触媒化学、無機固体化学、構造化学

首都大学東京
理学部 化学科 教授
山添 誠司 先生

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メッセージ

 私が研究している金属や金属酸化物クラスターの分野では、有機化学、無機化学、物理化学、分析化学など化学全般の知識はもちろんのこと、物理や数学、プログラミングといった幅広い知識が役立ちます。ですので何事にも幅広く興味を持ってください。異分野の知識が新しい研究を生み出すと思っています。
 当研究室では化学全般の知識を学ぶことができ、多様な分野で活躍できる人材の育成を心がけています。例えば化学メーカーでの研究者や、触媒・デバイスの開発者への道が考えられます。

先生の学問へのきっかけ

 もともとは機械系が好きで、自動車や電化製品のようにさまざまな部品の組み合わせによってできる「構造」が示す「機能」に興味がありました。いろいろあって化学の道に進みましたが、「構造」と「機能」という2つが自分にとっての学びの軸であり、最初は固体表面の構造を制御した光触媒の開発に従事しました。その後はバルク構造を制御した圧電材料、太陽電池材料の開発、サイズ・組成を緻密に制御した金属クラスターの開発とさまざまな分野を渡り歩きました。今後は、複数の分野で得られた知見を基盤に新しい研究を展開する予定です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

化学メーカー研究員/大学研究員/電機メーカー製造/電機メーカー開発

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山添 誠司 先生がいらっしゃる
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 首都大学東京は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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