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講義No.08909

細胞の可能性は無限大? ~がん治療からアンチエイジングまで~

発生学とは?

 人間は約37兆個もの細胞でできていますが、始まりはたった1つの細胞です。受精卵が分裂し、増えた細胞が分化して組織や器官を作り、正常に機能するメカニズムを明らかにするのが発生学です。その複雑なメカニズムをコントロールするのが遺伝子であり、それを発揮する舞台が細胞であることから、発生学では、細胞や細胞集団で起こるあらゆる生命活動を遺伝子やタンパク質といった分子のレベルで説明しようとしており、分子生物学や生化学、医学などさまざまな分野と結びついています。

細胞が大活躍! 免疫のメカニズム

 どんな生物にも、自己を守るための生体防御機構があります。免疫は、多数の細胞が複雑に相互作用し合う生体防御機構であり、多くの生物が持つ「自然免疫」と、脊椎動物だけが持つ「獲得免疫」の2種類があります。獲得免疫は、特異性の高い抗体という効果的な攻撃手段を備え、異物を記憶します。一方自然免疫は、異物である病原菌やがん細胞などの異常な細胞を幅広く認識し、排除するとともにその情報を獲得免疫に知らせます。中でもいち早く異物を認識して「貪食」し、獲得免疫を刺激するのがマクロファージです。近年、役割の異なる複数のマクロファージの存在が判明し、それらが免疫系の中で複雑に相互作用するメカニズムに注目が集まっています。その分子メカニズムを明らかにし、自然免疫をうまく活性化することで、がん治療やヒトの健康の維持・増進につなげる研究が進められています。

肌の悩み解消へ

 皮膚は生体の表面を覆い、外界からの異物の侵入を防ぐ物理的バリアであり、怪我や炎症などでバリアが破綻した際に異物が侵入する最前線です。その皮膚細胞も「貪食能」を持っており、皮膚の恒常性維持に重要なことが明らかになっています。その活性をうまくコントロールすることで、傷跡を残らないようにしたり、皮膚のアンチエイジングに役立てる研究が進められています。
 このように、生命現象の謎を発生学の視点から解き明かしていくことが、人々が求める医療の根幹を支えていきます。

参考資料
1:マクロファージの貪食の様子
2:serum MAFによる貪食の活性化

細胞の貪食能と免疫力:健康に役立つ発生学

この学問が向いているかも 発生学

甲南大学
フロンティアサイエンス学部 生命化学科 教授
西方 敬人 先生

先生の著書
メッセージ

 発生学は、生命活動のすべてを扱う学問で、遺伝子やタンパク質、細胞など幅広い視点で生物を理解しようとしています。細胞の働きは大変複雑で、いまだに不明なことも多いのですが、それだけまだまだ研究の余地がある興味深い学問です。
 科学の領域は複雑化しており、融合分野の研究が必須です。そこではチームでの協働が求められ、チーム作りには人と人との出会いと縁が重要です。良い縁を結ぶためにも、勉強はもちろん、何にでも一所懸命取り組み、自分自身の人間性を高め、そしてお互いの人間性を認め合うよう努力しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 中学校時代、「日本野鳥の会」の会員で将来は鳥類学者になりたいと思っていました。ところが入学した大学でさまざまな教授や先輩に出会い、話を聞いたり、たくさんの本を読んだりする中で、フッと「発生学」に注目します。生物の根源に直結する「発生」を研究すれば、生き物に対する全く新しい理解が可能になり、将来、医療などいろいろな分野につながっていくかもしれないと考えたからです。今はお寿司屋さんでホヤ貝と呼ばれる海産動物の「ホヤ」を実験に使っています。ホヤを選んだ理由はホヤを研究していた教授が魅力的だったからです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国立大学教員/私立大学教員/大学研究員/製薬会社研究員/化粧品原料メーカー開発職/バイオベンチャー企業社長/受託臨床試験実施機関コーディネーター

大学アイコン
西方 敬人 先生がいらっしゃる
甲南大学に関心を持ったら

 国際都市・神戸に位置する本学では、建学の理念「人物教育の率先」を教育の原点とし、ミディアムサイズの総合大学だから実現できる、学部を越えた融合型教育で優れた人材育成を実践しています。現在、岡本(神戸市東灘区)・西宮(西宮市)・ポートアイランド(神戸市中央区)に3つのキャンパスがあり、8学部14学科の多彩な学びを展開。また、全学部の学生がグローバル教育を受けられる融合型グローバル教育や共通教育科目の充実により、異なる学部の学生同士が自然につどい、刺激し合い、融合する学びのフィールドが実感できます。

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