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講義No.08247

「イケメン」な仏像は、どんな特徴を持っているのか?

仏像は人間に近づいてきた?

 近年、仏像を観賞する人が増えています。仏像を「かわいい」「イケメン」などと形容する人もいますが、どこか人間のような顔立ちをしている仏像ほど、そう見られることが多いようです。
 初期の仏像は、超然とした固い表情でしたが、平安時代から鎌倉時代にかけてリアリズムが追求されるようになると、例えば、眼に水晶をはめ込み眼球を作るようになりました。それどころか、布や紙で作った内臓が体内に入れられている仏像もあります。これはおそらく製作者の芸術性によるもので、映画監督の黒澤明はカメラに映らない引き出しの中に物を入れたと言われていますが、それと似たところがあったのでしょう。

観音様はマッチョだった?

 また写実性を追求すると、仏像はそれぞれの地域の人の顔になります。ですから日本の仏像は丸顔の薄い顔立ちに変わりました。各国の仏像に共通して言えることは、どこか女性的な雰囲気に変化していることです。おそらく仏教で言う「慈悲」を表現した結果なのでしょう。その好例が観音像で、最初期にインドで作られた観音像は髭(ひげ)が生え、がっちりとした体型でした。しかし「観音像=慈悲」のイメージが強かった中国では、髪を伸ばすなど女性的な雰囲気を強調するようになりました。日本の観音像もその影響で女性的になったのです。

仏像が、動き始めた?

 顔以外にもさまざまな変化があり、ポージングも直立不動から動きがつけられ始めます。仏像の多くは三体がセットで祭られているのですが、左右の仏像が片足を前に出し、体を本尊の方に傾けるようになりました。そうすると中央を起点に左右が湾曲する形となり、正面から見たとき、より美しく感じられるのです。また指も、すべてピンと伸ばすのではなく、1本を軽く曲げるといった工夫がされています。
 このように仏像は時代や地域ごとに変化してきましたが、意外なことに鎌倉時代以降はあまり変化していません。仏像はある種、鎌倉時代で完成を迎えたと言えるのです。


この学問が向いているかも 仏教美術史

駒澤大学
仏教学部 禅学科 教授
村松 哲文 先生

先生の著書
メッセージ

 一体の仏像を調べていくと、さまざまなことがわかり面白くなります。例えば、運慶は奈良に住んでいたのですが、遠く離れた静岡でも仏像を作っています。静岡までどういうルートで移動したのか、途中でほかの仏像も作ったかもしれないなどと調べていくと、興味の幅が広がります。
 仏像研究の中心は奈良時代や鎌倉時代ですが、言い換えればほかの時代は手つかずの部分が多いのです。地域にも偏りがあり、近畿地方以外は手薄なところがあります。しかし仏像は日本全国にあるので、その地域の仏像研究の第一人者になれる可能性があります。

先生の学問へのきっかけ

 古都巡りが趣味だった両親の影響で、「仏教美術」に興味を持つようになりました。また、学校が好きだったので、社会科の教師になろうと考えていました。大学院を卒業した方が教師に採用されやすいだろうと考えて進学したのですが、並行して高校で日本史と世界史の非常勤講師を務めることになり、教師としての夢はある程度満たされました。
 その後、一時は学芸員の道も考えましたが、大学助手として博物館で展覧会を手掛けたことから、その目標もひととおりかなえました。そして、選んだのが大学で研究を続ける道でした。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

博物館学芸員/教員(高校)/テレビ制作会社など

大学アイコン
村松 哲文 先生がいらっしゃる
駒澤大学に関心を持ったら

 駒澤大学は、2020年で開校138周年を迎えました。その豊かな伝統を守りながら、時代の状況に即した改革を行い、7学部17学科を擁する総合大学となりました。本学の特徴は、緑ゆたかで広大な駒沢オリンピック公園に隣接する閑静な環境にあり、全学部の学生が4年間を、ひとつのキャンパスで学習していることです。そのため、学部の垣根を越えて、充実した教育システムが用意されています。そして、近年の就職不況のなかにあっても、毎年高い就職率を誇っています。

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