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講義No.06184

スポーツの物語から、時代や社会が見えてくる

「物語」を知れば知るほどスポーツ観戦は楽しい

 スポーツにはプレーする楽しみのほかに、観る楽しみがあります。スポーツ観戦は、選手の動きや勝敗によって興奮や感動を得るだけでなく、選手のパーソナリティや逸話、チームの歴史など、その背景にある「物語」を知ることで魅力がアップします。観客は、スポーツから生まれる物語を含めて競技を楽しんでいるのです。

メディアに描かれるスポーツ

 1930年代、当時新しいメディアだったラジオでは、東京六大学野球の実況中継が人気でした。当時ラジオを録音する技術はありませんでしたから、聞き逃した人のために、アナウンサーの語りを載せたり、さまざまな関連する情報を集めたりした、雑誌も出版され人気を博しました。
 スポーツから生まれる物語は、フィクション小説の中にもたくさん見つけることができます。例えば、田中英光の『オリンポスの果実』は、1932年のロサンゼルスオリンピックにボート選手として出場した作者の経験をモチーフに、海外遠征の様子や思いを寄せる女性への心情が描かれています。当時日本は植民地政策をとっていましたから、作品には日本の選手としてオリンピックに出場する朝鮮の人や、アメリカに移住した日本人も登場します。読者は、小説を通して競技の世界を知るとともに、当時の社会や歴史、感性に触れることができるのです。

スポーツの物語を通して伝わるもの

 スポーツはいつの時代も人々に楽しまれてきました。今日でもいろいろなスポーツが、新聞やテレビ、ラジオ、雑誌、小説、マンガなど、多種多様なメディアで人々に物語を伝えています。
 文学研究では、小説をはじめメディアが伝える物語を通して、スポーツが社会の中でどのような役割を果たしているのか、どのように人々の間で消費されているのかを考察することも、面白さの一つです。それは、時代や社会、さらに人間そのものを理解することにつながるのです。


この学問が向いているかも 近代日本文学、出版文化史

名古屋大学
文学部  准教授
日比 嘉高 先生

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メッセージ

 小説や詩など文学作品の魅力は、ストーリーであったり、登場人物、使われている言葉、あるいは作家自身などさまざまでしょう。そのような作品の魅力を、あなたは友だちに伝えることができますか? 「とにかく読んで!」では熱意は伝わりますが、よさはまったく表現できていません。
 文学研究は、作品の面白さや素晴らしさ、作家の特徴をよりよく理解し、それを説明し、語るための手助けをします。文学の魅力を追究したい、国語の教員や研究者になりたい、言語表現や歴史を深く知りたい人は、日本文学が学べる大学にぜひ進んでください。

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 名古屋大学は、研究と教育の創造的な活動を通じて、豊かな文化の構築と科学・技術の発展に貢献してきました。「創造的な研究によって真理を探究」することをめざします。また名古屋大学は、「勇気ある知識人」を育てることを理念としています。基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土のもと、既存の権威にとらわれない自由・闊達で国際性に富んだ学風を特色としています。この学風の上に、未来を切り拓く人を育てます。

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